後藤裁判 控訴審判決 傍聴記-後藤氏が涙した裁判長の説諭
大変お待たせして申し訳ありませんでした。
2014年11月13日木曜日。この日の東京地方は、朝から真っ青な秋空が晴れ渡り、外気はひんやりしてるけど、お日様が当たるところはぽっかぽかで心地よく、紅葉麗しい日比谷公園のベンチに座ってずっとひなたぼっこしたくなるような、そんな恵まれた陽気。この日、いよいよ後藤徹氏が訴えた民事裁判の控訴審判決が言い渡されました(霞ヶ関の裁判所の隣にある日比谷公園では、今の季節、いちょう並木がとってもきれい)。

<日比谷公園のいちょう並木
今の季節は、黄色く染まったいちょう並木を愛でに多くの人が訪れる。>
この日、判決が言い渡されるのは、午後2時半から。私が2時前に裁判所の入り口を入ると、既にいつも傍聴券をもらうために待機する場所からはみ出して行列ができていて、職員の方が「傍聴の方はこちらに並んで下さ~い」と行列整理をしているほどの人数が集まっていました。「いや~、これは結構競争率が高いぞ~」と受け取った抽選券を握りしめ、当たりを念じていると、職員の方が「それでは、これから抽選を始めます。今日は42席に116人です」と発表。なるほど、今日判決が言い渡される824号法廷の傍聴席が42席で、ここにいるのが116人・・・。ということは、・・・競争率約3倍か~~!前方のボードに当たりの番号が張り出され、目をこらしてみると・・・やった~!今回も大当たり~!
というわけで、3倍の競争率を勝ち抜いて傍聴券を手にした私めが、僭越ながら傍聴記を綴らせていただきまする。
2014年11月13日木曜日。この日の東京地方は、朝から真っ青な秋空が晴れ渡り、外気はひんやりしてるけど、お日様が当たるところはぽっかぽかで心地よく、紅葉麗しい日比谷公園のベンチに座ってずっとひなたぼっこしたくなるような、そんな恵まれた陽気。この日、いよいよ後藤徹氏が訴えた民事裁判の控訴審判決が言い渡されました(霞ヶ関の裁判所の隣にある日比谷公園では、今の季節、いちょう並木がとってもきれい)。

<日比谷公園のいちょう並木
今の季節は、黄色く染まったいちょう並木を愛でに多くの人が訪れる。>
この日、判決が言い渡されるのは、午後2時半から。私が2時前に裁判所の入り口を入ると、既にいつも傍聴券をもらうために待機する場所からはみ出して行列ができていて、職員の方が「傍聴の方はこちらに並んで下さ~い」と行列整理をしているほどの人数が集まっていました。「いや~、これは結構競争率が高いぞ~」と受け取った抽選券を握りしめ、当たりを念じていると、職員の方が「それでは、これから抽選を始めます。今日は42席に116人です」と発表。なるほど、今日判決が言い渡される824号法廷の傍聴席が42席で、ここにいるのが116人・・・。ということは、・・・競争率約3倍か~~!前方のボードに当たりの番号が張り出され、目をこらしてみると・・・やった~!今回も大当たり~!
というわけで、3倍の競争率を勝ち抜いて傍聴券を手にした私めが、僭越ながら傍聴記を綴らせていただきまする。
裁判所8階の824号法廷に入ると、既に後藤さんと代理人の福本弁護士が向かって左側の原告側席に座っていて、向かって右側の被告側席にも被告宮村峻やその代理人山口広弁護士が神妙な表情で座っていました。前方左手には、黒ずくめの服を着た女性の書記官?と思われる方がこちら側を向いて座っています。そういえば、裁判官の服も決まって黒ずくめだけど、これってなぜだか皆さんご存じ?前にちょっと調べてみたら、諸説あるらしいけど、「黒は何物にも染まらない色なので,職務の中立性・公平性をイメージできる」という説が有力みたい。
静まりかえった法廷でただ一人こちら側を向いて終始無言で凜として佇む黒ずくめの女性書記官を見ながら、ああ、この裁判も中立公平に裁かれますように・・・、などと思いを馳せていると、被告側も全員集まったようで、後藤さんのお兄さん、兄嫁さん、妹さん、その代理人の山口貴士弁護士、荻上守生弁護士、宮村峻、その代理人山口広弁護士に木村壮弁護士、そして、2回行われた口頭弁論には来ていなかった松永堡智牧師も、今日はわざわざ新潟から上京して不安そうな顔つきで座っていましたね。そして松永牧師の代理人の中村周而弁護士に東麗子弁護士も着席。後は、おそらく、松永牧師が所属する日本同盟キリスト教団の弁護士さんでしょうかね。
しーんと静まりかえった法廷で皆さん緊張した面持ちで、時々時計を見ては定刻になるのを待つ。そして、2時半数分前に3人の裁判官が入廷し、全員起立して礼をする。しばらくして、須藤典明裁判長が「それでは、始めてください」と言うと、職員らしき人が、「平成26年云々・・・・」と裁判の番号と当事者名を読み上げると、須藤裁判長は、「それでは、これから判決を言い渡します」と。法廷内の緊張感は最高潮に。私も思わず固唾を飲む。
まず、須藤裁判長は、「一審原告の後藤さんは控訴人といいます」等々、裁判当事者の呼称を確認。その上で主文を読み上げ始めました。
(注意:以下は、判決文からの引用ですが、裁判長は、以下の判決文の通りに読み上げました。また、裁判長の言葉を青字で、被告の後藤兄は「兄」、後藤兄嫁は「兄嫁」、後藤妹は「妹」と表記します)。
「主文 1 控訴人の本件控訴に基づき、原判決を次の通り変更する」
とここまで、言い渡したところで、原告側席の福本弁護士が「よし」と小さくガッツポーズ。
続いて
「(1)被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、被控訴人宮村及び被控訴人・松永は、連帯して、控訴人に対し、440万円およびこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。」
法廷に響き渡る須藤裁判長の声。私は心の中で「え!一審では認められなかった松永牧師の名前が!」と叫ぶ。
続いて、
「(2)被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹および被控訴人宮村は、連帯して、控訴人に対し、さらに660万円およびこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。」
私の心の中の声「660万!一審を超えた?!」
続いて
「(3)被控訴人兄、被控訴人・兄嫁および被控訴人妹は、連帯して、控訴人に対し、さらに、1100万円およびこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。」
私の心の中の声「1100万!・・・きた~賠償金4桁超えた!!」
続いて
「(4)控訴人の被控訴人法人に対する請求ならびに被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、被控訴人宮村および被控訴人松永に対するその余の請求をいずれも棄却する。
2 被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、および被控訴人宮村の本件各控訴をいずれも棄却する。」
私の心の中の声「被告側の主張は、全滅?!」
続いて
「3 訴訟費用は、第一、二審を通じ、控訴人と被控訴人兄、被控訴人兄嫁および被控訴人・妹との間に生じた部分は、これを2分し、その1を被控訴人兄、被控訴人兄嫁および被控訴人妹の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人宮村との間に生じた部分は、これを四分し、その一を被控訴人宮村の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人松永との間に生じた部分は、これを10分し、その1を被控訴人松永の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人・法人との間に生じた部分は、控訴人の負担とする。
4 この判決は、第1項(1)ないし(3)に限り、仮に執行することができる。」
私の心の中の声「どういうこと???・・・」
(注意:以下の須藤裁判長の言い渡し内容は、メモに基づいているため、大体の内容を記したものです。雰囲気を知って頂くために記しますが、ご了承ください。)
こうして、主文を読み上げた後、須藤裁判長は「ちょっと分かりにくいかもしれませんが、結論を言えばお兄さん達家族は2200万円、宮村さんは、連帯して1100万円、松永さんは、連帯して440万円を支払うべきである、といった内容です」と。
私の心の中の声「2200万円!やったー!一審より大幅UP!!」
そして、須藤裁判長は、「本件は、皆さんよくご存じのように、平成7年9月11日から平成20年2月10日まで、12年5ヶ月間に亘って監禁されたと・・・」などと語り、この裁判の事案の解説を始められました。
私は、一審判決の際には相澤哲裁判長が主文を2分くらいで早口で読み上げて早々に閉廷したので、控訴審もそんな感じだと思っていましたが、この後、須藤裁判長は、約10分間かけてじっくりと、判決内容を解説してくださいました。

<日本による台湾統治を取り上げたNHKの番組を巡り、台湾の人たちなどが賠償を求めた裁判の東京高等裁判所での須藤典明裁判長。2013年11月28日、NHKの報道からの写真>
須藤裁判長がお話になった内容で、私が印象に残ったことを以下に記しますと、
「親・兄弟が信者となった家族を説得するために話し合いをする場合、本人が了解などしていれば、ただちに違法となるわけではないが、しかし、他方で家族といえども、個人としての意思の自由、尊厳というものがあり、それも十分に尊重されるべきであって、本人が説得に応じないのに、その行動の自由を制約してまで説得しようとすることは、原則として違法なものになる」
「お兄さんらの行為が家族としての情愛に基づくものであるということは当裁判所も十分に理解できますが、しかし、本人の任意の承諾に基づくものでない限り、限度を越えれば違法になる。」
「長年にわたって自由を奪って、社会から断絶させた上に所持金も与えず着の身着のままで『出て行け』と言ったから、それで拘束ではなくなるというのは、あまりにも理不尽である」
「本件で、実際に、控訴人(後藤徹氏)と生活を共にして、その自由を制約し、事実上の監禁状態に置いていたのは、お兄さんら家族ということになるわけだが、お兄さんらは、それ以前から、宮村さんや松永さんを頼りにして、平成9年に、今回の脱会活動を実行するにあたっても、事前に松永さんや宮村さんの教えや指導を受けて、そのアドバイスに従って実行された。」
「松永さんや宮村さんは、直接控訴人(後藤徹氏)の自由を制限することに携わらなかったと主張はしていますが、お兄さんら家族がやることを了解した上で、控訴人に対する一連の不法行為を鼓舞し、手助けするものであったと評価することができる。」
「しかも、松永さんや宮村さんは、控訴人に対して、脱会を勧めるなどして、結果的に、これはお兄さんらの行為を容認して、長年にわたる兄さんらの行為の精神的な支えともなっていたもので、お兄さんら家族とともに、控訴人に対する不法行為責任を負うのが相当」
「お兄さんらによる自由の制限というのは、実に12年5ヶ月におよび、控訴人(後藤徹氏)は、31歳から43歳という人生が充実すべき時期を失っている。お兄さんらの責任は、そういった意味で大きいものがある。」
後藤さんのご家族の事情をいろいろ知っている私は、この須藤裁判長の説諭を聞いて、とてもじーんとして、涙がにじみました。
12年5ヶ月間というとても想像がつかない果てしなく長い時間、狭い空間で孤独な闘いを余儀なくされた後藤徹さん。後藤さんの霊の親(統一教会への紹介者)で、自らも監禁下で脱会した後、宮村や松永に教唆されながらも、多分「弟をとんでもない所に入れてしまった」と自責の念に駆られ、もがき苦しんだであろうお兄さん。また、息子の脱会を念じながら監禁2年目に亡くなったお父さん。一昨年、おそらく息子を心配しながら亡くなったお母さん。未だ統一教会の信仰を持つ兄弟を何とか脱会させんと、おそらく後藤徹さんの幸せを思い自分の生活を犠牲にして監禁し続けた元信者の妹さんと兄嫁さん・・・。
思想、信仰、価値観の軋轢が高じ、どうしようもなくなった時、人はどう行動すべきなのか。何がダメで何が許されるのか。特にその衝突が家族間で起きた場合、何ができるのか・・・。
今回の須藤裁判長の説諭は、「親兄弟の愛は尊いものである・・・しかし、たとえ家族であっても、たとえ愛情が動機であっても、たとえ世間で評判が悪い団体であっても、それでもその個人の自由と尊厳は、守らなければならないのであって、自由を拘束して説得したりすることは、決して許されないのですよ、憲法で自由と人権が保障されたここ日本では、これが絶対原則なんですよ」と説かれたように私には感じられました。
須藤裁判長は、原告の後藤さんと被告側のお兄さん、妹さん、兄嫁さんが対面するその中間にあって、それぞれの事情と心情を忖度しつつ取り持ち、きっと、今後の双方の関係回復を望みながら、温かくも威厳をもって語りかけてくださった、そのような気がしました。
判決が言い渡されている間、原告席に座った後藤さんは、喜んでいる様子は全くなく、じっと前を見据え、時に目を伏せ、目に涙が滲んでいるように見えました。
一方の被告席は・・・皆さんもう悲壮感の塊といった感じで、特に松永牧師はやや下を向いて目をつぶり、うなだれたまま。一審では、しばしばふてぶてしい表情を見せていた宮村もさすがにショックを隠しきれず、無表情で身動き一つとれない状態で固まっている。宮村代理人の山口広弁護士は、口を一文字に結んで険しい表情。被告席の面々は、法廷が閉廷した後も、茫然自失といった感じで皆さん無言のまま、何人かがひそひそ話をしているだけで一様に硬い表情。相当ショックだったのでしょう。
後から聞いた話では、午後3時から被告側が同じ裁判所内にある司法記者クラブで記者会見を行う予定だったそうですが、キャンセルしたそうです(原告の後藤徹さん側は予定通り午後4時から記者会見を行いました)。まあ、確かにあの状態で記者会見は難しかったのでしょうかね。この一事からも、今回の控訴審判決は、被告側が「不当判決だ!」と叫ぶ気力さえも喪失するほどの衝撃的な原告側の勝訴判決であったことが見て取れますね。

<原告の後藤さん側は、判決日当日の16時から司法記者クラブで記者会見を行った。>
ああ、なるほど、それでですか。裁判閉廷後、後藤さん一行が、裁判所前で支援者を前に報告を行っていた際、被告側応援団の長髪の男性が突然現れて、後藤さん達の話に真摯に耳を傾ける様子も無く、うろうろしながら写真をとりまくっていました。多分参加予定にしていた被告側の記者会見がキャンセルになったので、暇をもてあまして見物にきたのでしょう。そんなことをしている暇があったら、敗訴でショックを受けているであろう被告の皆さんに寄り添って見守って差し上げればいいのに・・・、とその姿を見て私はちょっと悲しくなりました。
後藤さんの報告が終わり、皆さん解散した後、私はしばし路上に残り、目の前にそびえ立つ裁判所の建物を見ながらしばし佇み、これまでのこの裁判の激戦を回想しました。そして、「うん、日本の司法もまだまだ捨てたもんじゃない」と。空を見上げると変わらず真っ青な秋空が広がっていて気分爽快!!後藤さん、12年5ヶ月間、そして、その後の6年半の法廷での闘い、本当にご苦労様でした。よかったね。おめでとうございます!

<裁判所前で支援者に向け控訴審勝訴報告をする後藤徹氏>
*さて、次回からは被告側を顔面蒼白にさせた判決文を順次UPしていきます。お楽しみに。
これからも最高裁まで後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
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静まりかえった法廷でただ一人こちら側を向いて終始無言で凜として佇む黒ずくめの女性書記官を見ながら、ああ、この裁判も中立公平に裁かれますように・・・、などと思いを馳せていると、被告側も全員集まったようで、後藤さんのお兄さん、兄嫁さん、妹さん、その代理人の山口貴士弁護士、荻上守生弁護士、宮村峻、その代理人山口広弁護士に木村壮弁護士、そして、2回行われた口頭弁論には来ていなかった松永堡智牧師も、今日はわざわざ新潟から上京して不安そうな顔つきで座っていましたね。そして松永牧師の代理人の中村周而弁護士に東麗子弁護士も着席。後は、おそらく、松永牧師が所属する日本同盟キリスト教団の弁護士さんでしょうかね。
しーんと静まりかえった法廷で皆さん緊張した面持ちで、時々時計を見ては定刻になるのを待つ。そして、2時半数分前に3人の裁判官が入廷し、全員起立して礼をする。しばらくして、須藤典明裁判長が「それでは、始めてください」と言うと、職員らしき人が、「平成26年云々・・・・」と裁判の番号と当事者名を読み上げると、須藤裁判長は、「それでは、これから判決を言い渡します」と。法廷内の緊張感は最高潮に。私も思わず固唾を飲む。
まず、須藤裁判長は、「一審原告の後藤さんは控訴人といいます」等々、裁判当事者の呼称を確認。その上で主文を読み上げ始めました。
(注意:以下は、判決文からの引用ですが、裁判長は、以下の判決文の通りに読み上げました。また、裁判長の言葉を青字で、被告の後藤兄は「兄」、後藤兄嫁は「兄嫁」、後藤妹は「妹」と表記します)。
「主文 1 控訴人の本件控訴に基づき、原判決を次の通り変更する」
とここまで、言い渡したところで、原告側席の福本弁護士が「よし」と小さくガッツポーズ。
続いて
「(1)被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、被控訴人宮村及び被控訴人・松永は、連帯して、控訴人に対し、440万円およびこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。」
法廷に響き渡る須藤裁判長の声。私は心の中で「え!一審では認められなかった松永牧師の名前が!」と叫ぶ。
続いて、
「(2)被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹および被控訴人宮村は、連帯して、控訴人に対し、さらに660万円およびこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。」
私の心の中の声「660万!一審を超えた?!」
続いて
「(3)被控訴人兄、被控訴人・兄嫁および被控訴人妹は、連帯して、控訴人に対し、さらに、1100万円およびこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。」
私の心の中の声「1100万!・・・きた~賠償金4桁超えた!!」
続いて
「(4)控訴人の被控訴人法人に対する請求ならびに被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、被控訴人宮村および被控訴人松永に対するその余の請求をいずれも棄却する。
2 被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、および被控訴人宮村の本件各控訴をいずれも棄却する。」
私の心の中の声「被告側の主張は、全滅?!」
続いて
「3 訴訟費用は、第一、二審を通じ、控訴人と被控訴人兄、被控訴人兄嫁および被控訴人・妹との間に生じた部分は、これを2分し、その1を被控訴人兄、被控訴人兄嫁および被控訴人妹の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人宮村との間に生じた部分は、これを四分し、その一を被控訴人宮村の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人松永との間に生じた部分は、これを10分し、その1を被控訴人松永の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人・法人との間に生じた部分は、控訴人の負担とする。
4 この判決は、第1項(1)ないし(3)に限り、仮に執行することができる。」
私の心の中の声「どういうこと???・・・」
(注意:以下の須藤裁判長の言い渡し内容は、メモに基づいているため、大体の内容を記したものです。雰囲気を知って頂くために記しますが、ご了承ください。)
こうして、主文を読み上げた後、須藤裁判長は「ちょっと分かりにくいかもしれませんが、結論を言えばお兄さん達家族は2200万円、宮村さんは、連帯して1100万円、松永さんは、連帯して440万円を支払うべきである、といった内容です」と。
私の心の中の声「2200万円!やったー!一審より大幅UP!!」
そして、須藤裁判長は、「本件は、皆さんよくご存じのように、平成7年9月11日から平成20年2月10日まで、12年5ヶ月間に亘って監禁されたと・・・」などと語り、この裁判の事案の解説を始められました。
私は、一審判決の際には相澤哲裁判長が主文を2分くらいで早口で読み上げて早々に閉廷したので、控訴審もそんな感じだと思っていましたが、この後、須藤裁判長は、約10分間かけてじっくりと、判決内容を解説してくださいました。

<日本による台湾統治を取り上げたNHKの番組を巡り、台湾の人たちなどが賠償を求めた裁判の東京高等裁判所での須藤典明裁判長。2013年11月28日、NHKの報道からの写真>
須藤裁判長がお話になった内容で、私が印象に残ったことを以下に記しますと、
「親・兄弟が信者となった家族を説得するために話し合いをする場合、本人が了解などしていれば、ただちに違法となるわけではないが、しかし、他方で家族といえども、個人としての意思の自由、尊厳というものがあり、それも十分に尊重されるべきであって、本人が説得に応じないのに、その行動の自由を制約してまで説得しようとすることは、原則として違法なものになる」
「お兄さんらの行為が家族としての情愛に基づくものであるということは当裁判所も十分に理解できますが、しかし、本人の任意の承諾に基づくものでない限り、限度を越えれば違法になる。」
「長年にわたって自由を奪って、社会から断絶させた上に所持金も与えず着の身着のままで『出て行け』と言ったから、それで拘束ではなくなるというのは、あまりにも理不尽である」
「本件で、実際に、控訴人(後藤徹氏)と生活を共にして、その自由を制約し、事実上の監禁状態に置いていたのは、お兄さんら家族ということになるわけだが、お兄さんらは、それ以前から、宮村さんや松永さんを頼りにして、平成9年に、今回の脱会活動を実行するにあたっても、事前に松永さんや宮村さんの教えや指導を受けて、そのアドバイスに従って実行された。」
「松永さんや宮村さんは、直接控訴人(後藤徹氏)の自由を制限することに携わらなかったと主張はしていますが、お兄さんら家族がやることを了解した上で、控訴人に対する一連の不法行為を鼓舞し、手助けするものであったと評価することができる。」
「しかも、松永さんや宮村さんは、控訴人に対して、脱会を勧めるなどして、結果的に、これはお兄さんらの行為を容認して、長年にわたる兄さんらの行為の精神的な支えともなっていたもので、お兄さんら家族とともに、控訴人に対する不法行為責任を負うのが相当」
「お兄さんらによる自由の制限というのは、実に12年5ヶ月におよび、控訴人(後藤徹氏)は、31歳から43歳という人生が充実すべき時期を失っている。お兄さんらの責任は、そういった意味で大きいものがある。」
後藤さんのご家族の事情をいろいろ知っている私は、この須藤裁判長の説諭を聞いて、とてもじーんとして、涙がにじみました。
12年5ヶ月間というとても想像がつかない果てしなく長い時間、狭い空間で孤独な闘いを余儀なくされた後藤徹さん。後藤さんの霊の親(統一教会への紹介者)で、自らも監禁下で脱会した後、宮村や松永に教唆されながらも、多分「弟をとんでもない所に入れてしまった」と自責の念に駆られ、もがき苦しんだであろうお兄さん。また、息子の脱会を念じながら監禁2年目に亡くなったお父さん。一昨年、おそらく息子を心配しながら亡くなったお母さん。未だ統一教会の信仰を持つ兄弟を何とか脱会させんと、おそらく後藤徹さんの幸せを思い自分の生活を犠牲にして監禁し続けた元信者の妹さんと兄嫁さん・・・。
思想、信仰、価値観の軋轢が高じ、どうしようもなくなった時、人はどう行動すべきなのか。何がダメで何が許されるのか。特にその衝突が家族間で起きた場合、何ができるのか・・・。
今回の須藤裁判長の説諭は、「親兄弟の愛は尊いものである・・・しかし、たとえ家族であっても、たとえ愛情が動機であっても、たとえ世間で評判が悪い団体であっても、それでもその個人の自由と尊厳は、守らなければならないのであって、自由を拘束して説得したりすることは、決して許されないのですよ、憲法で自由と人権が保障されたここ日本では、これが絶対原則なんですよ」と説かれたように私には感じられました。
須藤裁判長は、原告の後藤さんと被告側のお兄さん、妹さん、兄嫁さんが対面するその中間にあって、それぞれの事情と心情を忖度しつつ取り持ち、きっと、今後の双方の関係回復を望みながら、温かくも威厳をもって語りかけてくださった、そのような気がしました。
判決が言い渡されている間、原告席に座った後藤さんは、喜んでいる様子は全くなく、じっと前を見据え、時に目を伏せ、目に涙が滲んでいるように見えました。
一方の被告席は・・・皆さんもう悲壮感の塊といった感じで、特に松永牧師はやや下を向いて目をつぶり、うなだれたまま。一審では、しばしばふてぶてしい表情を見せていた宮村もさすがにショックを隠しきれず、無表情で身動き一つとれない状態で固まっている。宮村代理人の山口広弁護士は、口を一文字に結んで険しい表情。被告席の面々は、法廷が閉廷した後も、茫然自失といった感じで皆さん無言のまま、何人かがひそひそ話をしているだけで一様に硬い表情。相当ショックだったのでしょう。
後から聞いた話では、午後3時から被告側が同じ裁判所内にある司法記者クラブで記者会見を行う予定だったそうですが、キャンセルしたそうです(原告の後藤徹さん側は予定通り午後4時から記者会見を行いました)。まあ、確かにあの状態で記者会見は難しかったのでしょうかね。この一事からも、今回の控訴審判決は、被告側が「不当判決だ!」と叫ぶ気力さえも喪失するほどの衝撃的な原告側の勝訴判決であったことが見て取れますね。

<原告の後藤さん側は、判決日当日の16時から司法記者クラブで記者会見を行った。>
ああ、なるほど、それでですか。裁判閉廷後、後藤さん一行が、裁判所前で支援者を前に報告を行っていた際、被告側応援団の長髪の男性が突然現れて、後藤さん達の話に真摯に耳を傾ける様子も無く、うろうろしながら写真をとりまくっていました。多分参加予定にしていた被告側の記者会見がキャンセルになったので、暇をもてあまして見物にきたのでしょう。そんなことをしている暇があったら、敗訴でショックを受けているであろう被告の皆さんに寄り添って見守って差し上げればいいのに・・・、とその姿を見て私はちょっと悲しくなりました。
後藤さんの報告が終わり、皆さん解散した後、私はしばし路上に残り、目の前にそびえ立つ裁判所の建物を見ながらしばし佇み、これまでのこの裁判の激戦を回想しました。そして、「うん、日本の司法もまだまだ捨てたもんじゃない」と。空を見上げると変わらず真っ青な秋空が広がっていて気分爽快!!後藤さん、12年5ヶ月間、そして、その後の6年半の法廷での闘い、本当にご苦労様でした。よかったね。おめでとうございます!

<裁判所前で支援者に向け控訴審勝訴報告をする後藤徹氏>
*さて、次回からは被告側を顔面蒼白にさせた判決文を順次UPしていきます。お楽しみに。
これからも最高裁まで後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
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2014-11-16(Sun)
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心の中で万歳
<被控訴人兄、被控訴人兄嫁、被控訴人妹、および被控訴人宮村の本件各控訴をいずれも棄却する>
<結論を言えばお兄さん達家族は2200万円、宮村さんは、連帯して1100万円、松永さんは、連帯して440万円を支払うべきである、といった内容です>
本当、この判決を聞いたときは、興奮しましたね。
思わず、拍手をしたくなりました。
以前の判決で、米本さんが拍手した、というような話をブログで読んでいたので、拍手が湧くのかと思いきや、誰も拍手しなかったので、心の中で拍手し、万歳を連呼しました。\(^^)/
<今回の須藤裁判長の説諭は、「親兄弟の愛は尊いものである・・・しかし、たとえ家族であっても、たとえ愛情が動機であっても、たとえ世間で評判が悪い団体であっても、それでもその個人の自由と尊厳は、守らなければならないのであって、自由を拘束して説得したりすることは、決して許されないのですよ、憲法で自由と人権が保障されたここ日本では、これが絶対原則なんですよ」と説かれたように私には感じられました>
私もそう感じました。
こういう優しい裁判官もいるんだな、と嬉しくなりました。
人権後進国(特に信仰の自由の点で)の日本も、これから変わっていくかもしれませんね。
<結論を言えばお兄さん達家族は2200万円、宮村さんは、連帯して1100万円、松永さんは、連帯して440万円を支払うべきである、といった内容です>
本当、この判決を聞いたときは、興奮しましたね。
思わず、拍手をしたくなりました。
以前の判決で、米本さんが拍手した、というような話をブログで読んでいたので、拍手が湧くのかと思いきや、誰も拍手しなかったので、心の中で拍手し、万歳を連呼しました。\(^^)/
<今回の須藤裁判長の説諭は、「親兄弟の愛は尊いものである・・・しかし、たとえ家族であっても、たとえ愛情が動機であっても、たとえ世間で評判が悪い団体であっても、それでもその個人の自由と尊厳は、守らなければならないのであって、自由を拘束して説得したりすることは、決して許されないのですよ、憲法で自由と人権が保障されたここ日本では、これが絶対原則なんですよ」と説かれたように私には感じられました>
私もそう感じました。
こういう優しい裁判官もいるんだな、と嬉しくなりました。
人権後進国(特に信仰の自由の点で)の日本も、これから変わっていくかもしれませんね。
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