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後藤徹氏の兄らの控訴理由書(1)の④―裁判所はあえて南京錠を外した時期を認定しなかった?

皆様
ブログの更新が遅くなり申し訳ありません。


言い訳がましいのですが・・・・


実は先週の金曜日に落雷により我が家の電話回線が不通になり、ネットに繋がれなくなってしまいました。
土日はマンションの管理会社と連絡が取れず、月曜に復旧しましたが、その後忙しくなり、今日になってしまいました。

最近の天気は本当に凄すぎます。

雹は降ってくるわ、雷で電話が不通になるわ

それに、晴天の霹靂のような監禁事件も起こってしまったようです。

後藤徹氏が係争中、しかも1審は被告側の敗訴判決が下されたというのに・・・です。

そちらのほうも非常に心配ですが、本題に入ります。
今回は引き続き後藤徹氏の兄らの控訴理由書の第4の2から第6の最後までです。
例によって非常に読みにくい文章になっています。

1センテンスが異常に長かったり、毎度毎度お馴染みの主張だったり。


ただちょっとばかり目新しい記述(というのも原審判決に対する批判であるため、判決前には出てこない)があったので、で記載してあります。

原審判決文からの引用は、
管理人による記載は

それと二回以上同じセンテンスが登場するケースを茶色で表示しました。





2 一審被告■<後藤徹氏の兄>らが主張し,一審原告が具体的な反論,主張をしていないにもかかわらず,原審が認定していない重要な事実

(1)はじめに

  原審判決は,以下のとおり,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが主張し,一審原告が具体的な反論,主張をしていない事実について認定をしていない。

(2)荻窪フラワーホームの南京錠が外された事実

 ア 一審原告供述の信用性については前述したとおり,乏しいものであるが,原審判決は,荻窪フラワーホームの南京錠が外された事実について認定していない。

 イ すなわち,一審被告後藤らは,一審原告との話し合いに来てくれる一審被告宮村や統一協会の元信者などから,南京錠はないほうがいいのではないかなどと言われたので,統一協会信者らによる連れ戻しに対する不安は拭えなかったが,遅くとも1998(平成10)年4月頃には南京錠を外しているところ,一審原告自身も最後までこの南京錠はついていたと主張はしておらず,また,前述したとおり,この点に関するMKの供述も信用性に乏しいものであるから,南京錠を外した時期について事実認定をしない理由はどこにもないにもかかわらず,原審判決はこれを認定していない。

 ウ 前述したとおり,原審の裁判体は,本件に関し,一審被告宮村及び一審被告■<後藤徹氏の兄>らに不法行為責任を負わせるという結論を先に決めていた。そして,適当な不法行為の開始時点を探し求め,おそらくは,「分かり易いイベント」であったであろう一審原告が偽装脱会を認めた時期を不法行為の開始時点を不法行為の開始時点として「決め打ち」したものである。そして,原審の裁判所としては,不法行為の開始時点を認定した以上,不法行為の終期についても留意する必要があった。もしも,南京錠が外された時期について認定してしまえば,2001年2月以降は,一審原告が暴れる等のイベントもなく,また,一審原告と一審被告■<後藤徹氏の妹>,あるいは,母親である■<後藤徹氏の母>だけがマンション内にいるという状況がある以上,少なくとも,南京錠を外した以降について不法行為を認定することが難しくなってしまい,一審原告の不法行為に基づく主張については,3年の時効期間が経過していることを事実上,判決文中において認めなくてはならなくなってしまう。原審の裁判体は,かかる認定を避けるため,南京錠が外された時期についての認定を敢えて避けたものであり,原審判決が証拠と合理的な経験則ではなく,予断と偏見を以って臨んだことの明らかな証左であると言える。

<ここでいう3年の時効というのは民事裁判の時効のこと>

(3)荻窪フラワーホームの内側ドアの鍵が外された事実

 ア荻窪フラワーホームの内側ドアの鍵が外された事実についても原審裁判所は認定をしていないが,その理由は,南京錠を外した時期を認定していない理由と同じものであり,内側ドアの鍵を外した以降について,不法行為を認定することが難しくなってしまい,一審原告の不法行為に基づく主張については,3年の時効期間が経過していることを事実上,判決文中において認めなくてはならなくなってしまうためである。

 イ 念のため,荻窪フラワーホームの内側ドアの鍵を取り付け,これを外した経緯についても説明する。
   一審被告■<後藤徹氏の兄>が,甲9・添付図面4・Dに鍵を付けたのは,一審原告を外に出さないためではなく,タップの仕事を辞めることになり,引継ぎや残務整理に集中する必要があったが,一審被告宮村から残業するなと指示をされていたためであり,退職した後は,元のドアノブに取り替えている(一審被告■<後藤徹氏の兄>調書23,24頁,乙イ1)。ドアノブの鍵は,居間の衣装ケースの上に置いてあったが,実際に一審原告が,甲9・添付図面4・Dの鍵を開けて外に出ようとしたことはなかった(一審被告■<後藤徹氏の兄>調書24頁)。なお,検察審査会は,この点について,『鍵のかかるドアノブに取り替えたことも,■<後藤徹氏の兄>の退職の時期とも合致しており,虚偽であるとは言えない。」と一審被告■<後藤徹氏の兄>の弁解の正当性を認めている。
荻窪おフラワーホーム見取図

   このように,玄関とリビングの間のドアノブを鍵のかかるものに取り換えた理由は,あくまでも,一審被告■<後藤徹氏の兄>が仕事に専念するためであり,一審原告を閉じ込めておく目的のためではない。

 3 まとめ

   以上のとおり,原審判決が予断と偏見に基づき,当然に認定すべき事実を認定していないことは明らかであり,かかる認定については事実認定について審理を尽くさない審理不尽の違法があり,それは,原審判決の結論に明らかな影響があるから,原審判決は速やかに破棄されるべきである。

第5 原審判決が本件における特性すなわち,被告後藤■<後藤徹氏の兄>らも元統一協会信者であったことを無視したことに基づく,事実誤認,特に証拠に基づかない事実認定を行っていること

 1 原審判決の認定

   原審判決は,「その間の両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する対応は,概して,信者に対する脱会説得につきそれぞれ多くの経験を有していた被告松永及び被告宮村がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものであり,各滞在場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重位が置かれたものであって,その全体を通じ,原告にとって,その意に反する強制的な要素を含むものであったことは明らかであるというべきである。」(原審認定②)という認定を行い,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが,被告松永及び被告宮村がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていた手法,すなわち,各滞在場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点が置かれた手法に従い,一審原告との話し合いに臨んだかのような認定をしている。

   しかしながら,以下に述べるとおり,原審判決のかかる認定は何ら証拠に基づかない事実認定であり,明らかな事実誤認である。

 2 原審判決の認定が証拠に基づかないものであること

(1)はじめに

   一審被告■<後藤徹氏の兄>らが,被告松永及び被告宮村から,一審原告に対する脱会説得のための実践的・実効的な方法として,各生活場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点が置かれた手法を学んだという事実は存在しない。

(2)一審被告宮村との関係

 原審判決38頁カ(イ)以下には,一審被告宮村による脱会説得のための指導等の事実として,「被告宮村は,脱会説得についての助言を行う際,信者の家族らに対し,親戚にも事情を話してその協力を仰ぐ必要がある旨,親や兄弟,親戚が一致団結しなければ,脱会説得は成功しない旨,信者は命がけで信仰をしているのであるから,家族らも命がけで説得に当たる必要がある旨,信者に対する脱会説得を行うに当たっては,事前に長期の休みをとることができるよう準備をしておく必要がある旨,脱会説得は統一教会との接触を遮断した環境下で行うことが必要であり,絶対に信者に統一教会との連絡をとらせてはいけない旨,たとえ信者本人が脱会を表明した場合や辛そうにしている場合でも,偽装脱会のおそれがあるから,信者を退出させる旨の判断については,家族らが,これを独自に行うべきではなく,被告宮村の意見を聞いた上で行う必要がある旨などを述べていた。」という認定をしているが,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが,一審被告宮村から,あるいは,水茎会からそのような内容の教えを受けた事実は存在しないし,そのような事実を示す証拠も一切存在しない。

  一審被告■<後藤徹氏の兄>らが一審被告宮村に一審原告との話し合いに来て貰うことを依頼したのは,一審被告宮村が元信者である自分達よりも統一協会の教義等について詳しく適任であるためであり,元信者に来て貰ったのも,一審原告に対し,自分達の話し合いに関する体験談を話して貰うためである。原審判決の言うように「脱会説得のための実践的な実効的な方法」とやらを学ぶためではない。

(3)一審被告松永との関係
新津福音キリスト教会
<新津福音キリスト教会と松永牧師>


  原審判決42頁(イ)b以下には,一審被告松永による脱会説得のための指導等の事実として,
「当該勉強会においては,その子弟を統一教会から脱会させることに成功した経験を有する家族らにより,信者に対する説得のための手法について,子弟を統一教会から脱会させるには統一教会の影響が及ばない場所で説得を行うことが必要である旨,親族の全面的な協力が必要であり,最低でも4人程度の親族の協力が必要である旨,信者を話合いの場所に連れて行くには,通常の乗用車ではなく,ワゴン車を準備する必要がある旨,ワゴン車には,飲料やポータブルトイレを準備する必要がある旨,ワゴン車の中では,両親等の近しい者が子弟の両脇に座る必要がある旨,被告松永の指導には必ず従う必要があり,従わない場合には被告松永は脱会の説得には協力することができない旨,子弟が部屋から出してほしいと述べても,家族らの判断でこれに応じるべきではなく,被告松永の判断に従って判断する必要がある旨などの指導が行われていた。また,被告松永は,その子弟に対する脱会説得の実行の時期が迫った家族らを集め,脱会説得を行うために用意した部屋への移動をさせる手はずについて打合せを行うとともに,それらの家族らに対し,移動の際に信者に対してどのようにして話すのか等について指導を行い,
「救出に際してはお子さんの状況などについて私と連絡を密にとってください。」,
「救出に際しては私の言葉に従ってください。従っていただけないのなら,救出を引き受けることはできません。」
などと述べていた。」,
「なお,被告松永は,その子弟に対して脱会説得を行う意向を有する家族らに対し,脱会説得のための部屋を紹介することもあったが,その一つである新潟市(現在の新潟市中央区)古町通11番地1696所在のシャルム五菜堀301号室については,窓の部分にその開閉ができないようにする器具が設置され,玄関ドアは内側からも施錠することができる仕様にされていた。」


という認定をしているが,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが,一審被告松永から,あるいは,一審被告松永の教会において,そのような内容の教えを受けた事実は存在しないし,一審被告■<後藤徹氏の兄>らがそのような教えを受けた事実を示す証拠も一切存在しない。なお,原審判決は,甲26の陳述書を事実認定の根拠にしているようであるが,当事者でもなく,反対尋問も経ていない陳述書について全面的に事実認定の根拠にすることは,明らかな証拠評価の誤りがあるというべきである。
シャルム五菜堀301号室
<シャルム五菜堀301号室>


 一審被告■<後藤徹氏の兄>らが一審被告松永の教会に通ったのは,当時はまだ健在であった父■<後藤徹氏の父>や母■<後藤徹氏の母>(両名とも統一協会信者ではない)と共に,礼拝に参加したり,子どもや親や伴侶が統一協会に入信して問題をかかえて悩んでいる家族の会に参加するためである。礼拝は,普通の礼拝であり,一審被告松永が信徒に向けて,聖書の内容を語るというものであり,聖書の勉強の一環として家族で参加していた。また,家族の会では,統一協会に家族が入信して悩んでいる家族や,元信者の方と統一協会に入った信者の心理状態や,家族自身の問題,統一協会の社会的な問題などを聞いたり話したりし,家族として今後,どういう姿勢で話し合いの場に望んだらいいのか,信者とどう向き合うべきかなどについて考える機会を与えられたものである。元統一協会員である一審被告■<後藤徹氏の兄>らも,話し合いの経験者ではあったが,統一協会信者を持つ家族の立場から,客観的に自分自身や家族のあり方を考える機会になれば良いと考え,参加していたものである。

(4)原審判決による事実認定の根拠が不明であること

  原審判決は,「その間の両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する対応は,概して,信者に対する脱会説得につきそれぞれ多くの経験を有していた被告松永及び被告宮村がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものであり,各滞在場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点が置かれたものであって,」(原審認定②)などと述べるが,上記したとおり,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが,各生活場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点が置かれたような統一協会信者との話し合いに関する方法を一審被告宮村,水茎会,一審被告松永,一審被告松永の教会において教わったという事実も証拠も存在しないものであるから,原審認定②には明らかな事実誤認と証拠に基づかない事実認定を行ったという違法が存在することが明らかである。

  なお,「その全体を通じ,原告にとって,その意に反する強制的な要素を含むものであったことは明らかであるというべきである。」という評価的な認定については,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが原審以来一貫して主張している通り,一審原告は話し合いの場から立ち去る気があれば,そうすることが出来たものであるから,その意味でも事実誤認が存在することを付言しておく。

3 一審被告■<後藤徹氏の兄>らが元統一協会信者であったということ

  一審被告■<後藤徹氏の兄>らは,元統一協会信者であり,また,自身も話し合いを通じて統一協会を脱会した経験を有する者として,統一協会信者の信仰,話し合いに臨むに際しての心理状態について普通の家族よりも詳しく知っていたものであり,水茎会や一審被告松永の教会に通い,話し合いの心構えなどについて学んだことはあり,また,一審原告と話をするように一審被告宮村,同松永に要請したことがあったのは事実であるが,実際には,自分達の創意工夫により,話し合いに臨んだものであり,一審被告松永及び一審被告宮村がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものでもなければ,各生活場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点を置く手法を採用したこともない。

4 まとめ

  以上のとおり,原審認定②について,原審判決が証拠に基づかない認定を行い,また,明らかな事実誤認があることは明らかである。

第6 原審判決が統一協会信者である一審原告の心理状態,信仰に基づく行動について十分に理解しないまま,予断と偏見に基づき,誤った事実認定を行っていること

 1 原審判決の認定

   原審判決は,「被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が統一教会の教義に従い,家族を救済する目的の下に上記各居室に居座り続けた旨をも主張するが,原告自身,これを明確に否定するところであり,本件全証拠によるも,荻窪フラワーホームに滞在中の原告の行動が上記のような目的の下に行われていたことを窺わせる事情は認められず,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張は採用することができない。」(原審認定⑥)との認定をしている。

   しかしながら,以下に述べるとおり,かかる原審判決の認定は,上述したように信用性に乏しい一審原告の供述の内容のみに依拠し,客観的な証拠関係を無視したものであり,事実誤認が存在することは明らかである。

 2 一審被告■<後藤徹氏の兄>らが一審原告による救済の対象であったという事実

   一審原告自身,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが統一協会の教祖を裏切ったことは認めており(一審原告109,110頁),捜査機関に対しても,統一教会の教えとして,家族に教え広めて手を差し延べる対象であることや,■<後藤徹氏の兄>,■<後藤徹氏の兄嫁>,■<後藤徹氏の妹>が教祖を裏切っており,当然天罰を受けることになるとの思いから,家族に誤解を解いて救いたいという気持ちがあったと述べている(乙イ1)。

   また,統一協会の機関誌ファミリーには,統一協会を脱会した人は地獄に行くと書いてあるとおり,統一協会信者は,脱会者は地獄へと行くと教え込まれており(乙ハ33・12,13頁以下),一審原告は,自分自身の力により,再度信仰に導かない限り,元統一協会信者である一審被告■<後藤徹氏の兄>らが死後地獄に行くことになると信じていたことも明らかである。

   このように一審原告には,統一協会の教義に従い,家族を救済する意図を有していたことは明らかであり,原審判決には事実誤認が存在することが明らかである。

 3 一審原告が氏族メシアとしての使命感を有していたこと

(1)一審原告が熟読していた「祝福と氏族メシア」(乙イ2)なる書籍

   一審原告は,統一協会信者向けの教義解説の書籍である「祝福と氏族メシア」(乙イ2)なる書籍を熟読していた。この書籍が一審原告のものであり,同人がこれを読んでいたことについて争いはない(一審原告127,128頁)。

(2)統一協会信者の持つ氏族メシアとしての使命感

ア 氏族メシヤの考え方

  統一協会における「氏族のメシヤ」の概念は,文鮮明が全人類のメシヤ=救世主であるように,統一協会信者は自分の血縁(氏族)に対するメシヤとなり,命がけで救いに導く責任がある,ということであり,救いとは単純にいえば統一原理を信じさせ,文鮮明を救世主と信じる信仰を持たせ,統一協会の信者にさせるということである。

イ 「祝福と氏族メシア」(乙イ2)なる書籍の内容

  一審原告が,熟読していた乙イ2「祝福と氏族メシヤ」の4ページには,「『氏族的メシヤたれ』とは,成約時代を歩む統一協会の全食口の目的であり,それなくして私たち個人の完成もありえないし,復帰摂理の歴史の目的である地上天国実現もありえません。」と書かれており,「氏族メシヤ」が統一協会における最重要概念であることは明らかにされている。そのほかにも,同書には,「皆さんは氏族を救うために,どんなに困難でも生涯迫害されても逃げてはいけません。それを歓迎し続け,正面で受けます。正面から困難なサタンの行為を歓迎しなさい。それが先生のとった道なのです。」(乙イ2,32頁),「だから,氏族的メシヤである皆さんが,再臨主の前に,皆さんの家庭と氏族的基盤を連結させる,その責任分担がどれほど重要かということを知らなければなりません。すなわち,皆さんの父母は堕落した今の世界で皆さんを生みましたが,皆さんの蕩減復帰によって皆さんの父母圏が天の国に入籍され,そうしてサタン圏を逃れて天の国で皆さんが生まれる,そのような基準まで上がっていくのです。」(乙イ2,43頁~44頁)などと,両親や家族を救うことが,教義的に非常に重要だということが述べられている。

 また,「メシヤという立場は父母の立場であり,父母は真の愛をもって子女のために自分のすべてをささげていくのです。父母の心情は堕落世界においても変わらず,荒漠たるこの世において唯一残っている真の心情です。それを感じさせる実体が父母の立場なのです。したがって,子女を愛する父母の心情で完全投入するとき,はじめて氏族の主人として立つことができるのです。」(乙イ2,50頁)などと,統一協会員が自分の親を導く際には,父母の立場で親が子供を愛するように愛さなければならず,親が破滅に向かっている子供を命がけで助ける気持ちで伝道するようにと述べられている。

ウ 一審原告自身の認識

 一審原告は,本人尋問に際し,以下のとおり,供述している(一審原告127,
128頁)。

乙イ第2号証(研修教材)を示す
祝福と氏族メシア表紙

   これはどうもあなたが持っていた冊子のようなんだけど。

     そのとおりです。

   一番後ろのページに,江戸川教会,後藤徹とあるから,あなたが持っていた
   んでしょうね。

     これは私のものですね。

   4ページ,「氏族メシアたれ」とは成約時代を歩む統―教会の全食口の目的
   であり,それをなくして,私たち個人の完成もありえないし,復帰摂理歴史
   の目的である地上天国実現もありえませんと,極めて信者としては重要なこ
   とであるということが書かれているようですね。

     重要であります。

   16,17ページを示します。氏族的メシアは自分のすべてを父母の前に捧
   げることによって,おじいさん,お父さん,兄弟の三代を自然屈服させたと
   き皆さんの父母は堕落しなかったアダムとエバの位置に立つようになるので
   す,とありますね。

     はい。

   ここでいう,すべてを父母の前に捧げることによってという,この父母とい
   うのは誰のことなんですか。これはやっぱり真の御父母様の文鮮明御夫妻の
   ことですか。

     この父母というのはちょっと。普通は真の父母という言葉を使います
     ので,この父母というのが何のことをいっているのか,ちょっと前後
     の文脈を見ないと,はっきりここでは言えません。

   いずれにしても,氏族メシアというのはそういうふうに,あなたにとっては
   御両親あるいは兄弟,場合によっては配偶者や子どもさんたち,そういう人
   たち一族を統一教会の信者になってもらう,これが至上の使命であるという
   ことになるんでしょう。

     それも一部ですね。

   先ほど,氏族メシアの使命というのは極めて重要だと,あなた言ったよね。

       極めて重要です。

    ここにも家族を復帰することが前提のような書き方がされてますよ。

       そうですよ。

    55,56ページなんですが,末尾の2行目から。そこから神の救いの摂理
    がなされるのです。故に死ぬ境地に入らなければなりません。みんな自分の
    故郷に帰って,まず反対する人を訪ねていかねばなりません。アベル的伝道
    を持った統一教会の人たちが入っていかねばならない舞台がどこかという
    と,その村で一番反対する者の所だというのです,とありますね

       はい。

    つまり,信者というのは統一教会に反対する人を屈服させる,そのくらいの
    決意を持ってやらなきゃいかんと,そう書いてあるんじゃないですか。

       そういう部分もあると思いますね。

    あなた自身,そういう決意を持って,信者として活動してたんじゃないんで
    すか。

       それもありますね。

  上記した一審原告の供述に鑑みれば,一審原告は,統一協会信者として,「祝福と氏族メシア」(乙イ2)に書いてある内容を実践することを自身の信仰の内容としていたことは明らかである。

  そして,後藤家の場合,統一協会信者は一審原告だけであるから,一審原告は,「自分が統一協会から離れてしまったら家族や親戚が天国に行く道を断ち切ってしまう。自分は氏族にとって最後の砦だ。」<わざわざカッコ書きになっているので、後藤氏がこのような主張をしたことがあるのかと勘違いしそうだが、後藤氏はこのような主張をしたことは一度もない。あくまでも被告側の憶測>と考えていたのである。

  すなわち,一審原告は,本来であれば地獄行きである一審被告■<後藤徹氏の兄>らを救済するため,「皆さんは氏族を救うために,どんなに困難でも生涯迫害されても逃げてはいけません。それを歓迎し続け,正面で受けます。正面から困難なサタンの行為を歓迎しなさい。それが先生のとった道なのです。」(乙イ2,32頁)という教えを実践し,そのために,離れようと思えば自由にその場を離れることが可能であったにも関わらず,敢えて,家族との話し合いの場に止まり続けたものである。
祝福と氏族メシア指摘箇所
<「祝福と氏族メシア」32ページ>


エ 話し合いの最中の原告の言動

  一審原告は、一審被告■<後藤徹氏の兄>らとフラワーマンションで共に生活していたとき,最後まで「神が働けば家族が原理を信じることも不可能じゃないんだよ。」と言っており,統一協会の教えについて語っていた。統一協会の信者にとっては家族を救うということが,自分の救いや地上天国の完成にも密接に関係してくることであり,永遠の命がかかっていると思えばこそ,自分のやりたいように生きる生活よりも,家族とともに生活し,尊敬に値するすばらしい人間であるという証を立てて,愛をもって家族を屈服させ,統一原理を共に信じて生きていけるようにするのが自分の使命=「氏族のメシヤ」である,と一審原告は考えていたからこそ,このような言葉が出てくるのである。


オ 客観的な状況との整合性

  本件の審理を通じて明らかとなったとおり,一審原告は,話し合いの場であるマンションを離れる機会は幾らでもあったにもかかわらず,敢えてその場を離れようとはしていない。

  前述したとおり,原審判決は,「一審原告が日々運動を行い,相当の体力を有していた」という争いのない事実を意図的に無視してまで,一審原告がマンションを離れなかった理由について,「原告が平成7年9月11日以降,各滞在場所間の移動の機会を除いてはほとんど外出をしておらず,長期間にわたりその行動範囲が著しく制限されていた結果,上記滞在期間中には相応の筋力の低下が生じていたことが窺われることに加え,被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>が自身の肉親であること等に照らせば,原告が,被告■<後藤徹氏の妹>又は■<後藤徹氏の母>に対して有形力を行使してまで荻窪フラワーホームからの退出を試みることをしなかったとしても,そのことから直ちに荻窪フラワーホームにおける滞在が原告の意に反するところではなかったものとみることはできず,」(原審認定⑤)という認定をしている。しかしながら,かかる認定が事実に反することは,前述したとおりであり,むしろ,一審原告が,自分の救いのため,また,前述した氏族のメシヤとしての責任を全うするために,自由に出ることが出来たにもかかわらず,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが原告を玄関の外に出すまで,マンションに留まり,家族と共に生活し続けたことは,何ら不自然なことではないというべきである。

  このように,一審原告が統一協会の信仰に基づき,氏族のメシヤとしての責任を全うするためにマンションに留まっていたと考えることは,一審原告が話し合いの場であるマンションを離れる機会は幾らでもあったにもかかわらず,敢えてその場を離れようとはしていないという客観的な事実とも整合性を有するのである。

カ 小括

   以上のとおり,一審原告が,自分の救いのため,また,前述した氏族のメシヤとしての責任を全うするために,自由に出ることが出来たにもかかわらず,一審被告■<後藤徹氏の兄>らが原告を玄関の外に出すまで,マンションに留まり,家族と共に生活し続けたことは,何ら不自然なことではないのである。原告の行動は,統一協会による教え込み,教化を前提にすれば,了解可能な行動なのである。

(3)まとめ

   以上のとおり,12年間にも亘って,話し合いに応じ続け,マンションを出ようとしなかった一審原告の行動は,統一協会による教え込み,教化を受けている現役信者の心理状態,統一協会による教え込み,教化の中身に鑑みれば,十分に了解可能な行動なのである。

4 原審判決の認定が誤っていること

  原審判決は,「被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が統一教会の教義に従い,家族を救済する目的の下に上記各居室に居座り続けた旨をも主張するが,原告自身,これを明確に否定するところであり,本件全証拠によるも,荻窪フラワーホームに滞在中の原告の行動が上記のような目的の下に行われていたことを窺わせる事情は認められず,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張は採用することができない。」(原審認定⑥)との認定をしているが,上記したとおり,一審原告は統一協会信者として「祝福と氏族メシア」(乙イ2)に書いてある内容を実践することを自身の信仰の内容としていたことは明らかであり,また,後藤家の場合,統一協会信者は一審原告だけであるから,一審原告は,「自分が統一協会から離れてしまったら家族や親戚が天国に行く道を断ち切ってしまう。自分は氏族にとって最後の砦だ。」と考えていたこともあり,一審原告は,本来であれば地獄行きである一審被告■<後藤徹氏の兄>らを救済するため,「皆さんは氏族を救うために,どんなに困難でも生涯迫害されても逃げてはいけません。それを歓迎し続け,正面で受けます。正面から困難なサタンの行為を歓迎しなさい。それが先生のとった道なのです。」(乙イ2,32頁)という教え等を実践し,そのために離れようと思えば自由にその場を離れることが可能であったにも関わらず,敢えて,家族との話し合いの場に止まり続けたことは明らかであるから,原審判決の認定に事実誤認が存在することは明らかである。

続く


これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
↓↓↓↓↓↓
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019_convert_20140131104434[1]
2014-08-02(Sat)
 

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質問です。 

 世話人さん、アップご苦労さまです。
 どれが新しい主張なのか、わかりやすく工夫されていて、助かりました。

 ところで、その新しい主張の中で、「イベント」という言葉を使っています。
 日本語としては出来事です。また催しごとの意味でもイベントが使われます。

 被告代理人はイベントにどういう意味を持たせているのでしょうかねえ。
2014-08-04 11:20 | 米本 | URL   [ 編集 ]

読むべきサイト 

 国連自由権規制委員会の報告に対して、全国弁連がイチャモンとしか思えないような声明文を発表した。
http://www.stopreikan.com/shiryou/seimei_20140801.htm

 それに対して、Yoshiさんがブログで批評を加えつつある。
「全国弁連声明文への批判(1)- 中心メンバーの素顔」
http://humanrightslink.seesaa.net/article/403089192.html#more

 ぜひ読んでいただきたい。
2014-08-04 11:28 | 米本 | URL   [ 編集 ]

Re: 質問です。 

米本様投稿ありがとうございました。


>  ところで、その新しい主張の中で、「イベント」という言葉を使っています。
>  日本語としては出来事です。また催しごとの意味でもイベントが使われます。
>
>  被告代理人はイベントにどういう意味を持たせているのでしょうかねえ。

被告代理人のお一方は確か帰国者子女。
帰国者子女は英語がお好きなのでは?

意味を持たせているのかどうなのかよくはわかりませんが・・・


2014-08-04 19:27 | Yama | URL   [ 編集 ]

妹はなぜ働きに行かなかった? 

おや、おや?。またしても繰り返し文だ~。
<離れようと思えば自由にその場を離れることが可能であったにも関わらず,敢えて,家族との話し合いの場に止まり続けた>この一文を5回使っている。
ふ~。懲りないねぇ。

自由に出れる状態だったのに出なかった、だから監禁していない、って言いたいのだろうけど、12年5ヶ月も外に出ない、ってこと自体が不思議だ!、って言っているのよ。

12年5ヶ月もの間、なぜ家賃を払い続け、妹は働きにも行かずに同居したのか?、って。
そのことを説明しないと、監禁していないことの説明にならない、っつーの。



<家族の会では、(中略)、家族として今後,どういう姿勢で話し合いの場に望んだらいいのか,信者とどう向き合うべきかなどについて考える機会を与えられたものである>

松永牧師から話し合いについて学んだんだね。
で、話し合いはスムースに行ったのかい?
どうしたことか、話し合いは12年5ヶ月という、ギネス記録だ!
「監禁→脱会強要→信仰放棄」カウンセリングが通用しなかった、ってことでしょ。

松永牧師の指導を受けて“話し合い”に臨んだわけで、親や兄が勝手にやったわけじゃないんだろっ。
にもかかわらず、松永牧師の指導性を認めない、って、おかしいだろう。
カウンセリング力なし、牧師としての能力なし、潔さなし。
どうしてこんな人間を擁護するのかねぇ。

まあ、擁護するしかないよね。
擁護しないと、監禁を認めることになっちゃうんだから。
2014-08-05 08:50 | みんな | URL   [ 編集 ]

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