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後藤徹氏の控訴理由書-食事制限は愛情なのか??

いよいよ控訴理由書最終回です。

今回は、下記青字部分をアップ致します。

第1 拉致監禁(荻窪フラワーホーム迄)に関する事実誤認
第2 被控訴人松永および被控訴人宮村の責任に関する事実誤認
第3 被控訴人日本同盟基督教団の使用者責任否定の不当性
第4 食事制裁に関する事実誤認
第5 損害額認定に関する不当性
第6 国際法違反


原判決の事実誤認、不当性はあきれるばかりです。
後藤徹氏は自分の意思で大成建設を退職したわけではないのに、自分の意思で退職したことになっているし、10年以上(後藤氏が監禁されていたのは12年5ヶ月ですが、原判決では、新潟での監禁期間は認定されていない)も監禁されていたのに、逸失利益は0円。

食事制裁にいたっては、後藤氏の健康を慮ってされたことだといわんばかり・・・。

北朝鮮の強制収容所から命がけで脱出し、さらに脱北に成功したシン・ドンヒョク氏はこのように述べています。
シンドンヒョク

<シン・ドンヒョク氏>

収容所の中で一番辛かったのは、ひもじいこと。制裁を受ける時、鞭打ちと食事抜きのどちらかを選ぶのですが、鞭を選びました。拷問は辛いけれど、それ以上に辛いのは空腹でした。

きっと後藤氏もシン・ドンヒョク氏と同じようにつらい空腹を味わったことでしょう。




原判決(地裁判決)からの引用文はわかりやすいように赤字で記載しています。
第3 被控訴人日本同盟基督教団の使用者責任否定の不当性

1 原判決の判示

 原判決は,被控訴人松永の責任を否定して被控訴人日本同盟基督教団(以下,「被控訴人教団」という。)の使用者責任を否定しつつ,付言と称して
「被告法人は,その傘下にある個々の教会の運営について関知する立場にはなく,また,個々の教会において活動を行う牧師による活動について指示を与える立場にもなく,個々の教会において活動を行う牧師は,個々の教会の責任者として,被告法人とは独立した立場で自主的にその活動を行っており,また被告法人は,牧師や伝道師に対する定期的な研修やその資格を停止し,又は剥奪する権限や人事権を有するも,それらの権限はキリスト教の信仰の枠組みを守る趣旨で付与され,その限度においてのみ行使することが許される性質のものであって,被告法人とその傘下にある個々の教会に務める牧師との間に使用関係を生じさせる性質のものではないことが認められるから,被告法人と新津教会の牧師である被告松永との間に使用関係があると認めることはできないものというべきであり,原告の上記主張は,この点からも理由がない」(判決書64頁16行~65頁1行)
と判示する。

2 不当性

 まず,被控訴人松永の責任を否定した原判決について,事実誤認及び法令違反・判例違背の違法が認められ不当であることについては前記の通りであるが,「付言」と称する上記判示も不当である。
 原判決は,被控訴人教団及び被控訴人松永らの主張を鵜呑みにして,あたかも両者の間に使用関係などなく,極めて限定された人事権等が存在するだけであるかのような認定をしている。

 しかしながら,被控訴人教団の法人登記事項よれば,「この法人は,この教団の規程たる日本同盟基督教団信仰箇条に基づき,旧新約聖書を教典として,その教義をひろめ,儀式行事を行い信者を強化育成し,教会を包括し,その他この教団の目的を達成するための財務その他の業務及び公益事業を行う事を目的とする」とある。被控訴人教団の目的がその教義を広め,儀式行事を行い,信者を強化し,教会を包括するというのであるから,被控訴人松永が牧師を務める新津教会など被控訴人教団傘下にある各教会は被控訴人教団の教義を広めるため活動しているものであることは当然である。

かつ,被控訴人教団は,傘下教会の牧師人事権を有し,傘下教会の財産権(甲31号証の1~5)をも有しているのであるから,被控訴人教団は教義,人事及び財産という宗教法人組織を成り立たせる3大要素を握っているものであり,傘下の教会牧師との関係が使用関係にあることを否定する余地などない。本件において見てみるに,被控訴人松永自身が統一教会の脱会活動を「牧会活動」と称し(原審被告松永答弁書2頁),脱会させた元統一教会信者らを自らの教会に所属させ,更なる信者脱会活動に従事させていることなどからすれば(甲27号証23頁2行~5行,甲89号証15頁12行~22行),被控訴人教団の宣教活動・教勢拡大活動の一環としてこれを遂行していることは明かであって,これは正に被控訴人教団の教義の伝播を目的とする行為であって,同被控訴人の業務の執行にほかならない。
松永答弁書
<松永自身が統一教会の脱会活動を「牧会活動」と認めた答弁書>

 よって,原判決の上記判示は誤りであり,不当である。

第4 食事制裁に関する事実誤認

1 原判決の認定

 原判決は,
「原告は,被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて,原告が荻窪フラワーホームに滞在中にハンガーストライキを終えた後においても,原告に対して粗末な食事しか与えずに食事制裁を行い,原告を虐待した旨主張するが,前記1(1)タ(キ)の通り,上記滞在中の原告の食事は■<後藤徹氏の母>及び被告■<後藤徹氏の妹>において用意されており,被告■<後藤徹氏の妹>は,かつて信者であった頃に断食を行った経験を生かして,原告の断食明けの食事について配慮し,原告の体調を気遣っていたこと等が認められるところであって,原告が3度目の断食を行った後に出された普通食が原告と同等の身長の一般男性に必要とされるカロリーを摂取するに十分なものではなかったことも,原告において再度断食を行う意向を表していたことを踏まえてのことであったことを考慮すれば,上記の原告の食事に係る事情については,直ちに違法な点を見いだすことはできず,原告の上記主張は採用しない」(判決書60頁6行~17行)
と判示し,食事制裁の違法性を否定する。

2 原判決の事実誤認と不合理性

 原判決の上記判示は,被控訴人■<後藤徹氏の妹>の嘘の弁解をそのまま鵜呑みにし,客観的現実を無視したものであり,不当である。
 裁判所たる者まずは客観的な事実を直視すべきである。控訴人が12年5月間の監禁生活から解放された直後のガリガリに痩せ細った身体を撮影した写真(甲17号証「報告書」,甲1号証「写真撮影報告書」)を見れば,控訴人が著しい栄養失調状態(甲2~甲4号証「診断書」)にあったことは,一目瞭然である。
後藤徹氏
<甲1号証の写真>

 現代の我が国において,かような栄養失調状態にある人を見ることはまずないと言って良い。そして,監禁解放後の一心病院入院中に控訴人が記して担当医師に提出したところの断食後に与えられた食事内容を詳細に記した図解付きメモ(甲139号証の1,2)並びにこれに基づいて再現した食事内容とこれに対する管理栄養士の見解(甲140号証の1,2)を見れば,3回目の断食以降解放までの1年10か月間(特に普通食になってからの1年2か月間),控訴人に与えられていた食事が成人男性の所要栄養摂取量に著しく不足していることは客観的に明らかである。

 控訴人に与えられていた食事に対する栄養学的所見の照会に当たって本件事件の内容を一切知らされていない管理栄養士が出した専門家的見解において,「低栄養状態による体重減少,筋力低下により全身の筋肉組織が衰えます。」(甲140号証の2:2頁)と言及され,控訴人が実際に陥った現実(甲17,甲1~4号証)と正に合致しているということは特に重要である。

 そして,控訴人の「貧血」につき診断した北里大学病院の診断書(甲3号証「診断書」)には,「長期に及ぶ極端な摂取不良による栄養障害が原因と考えられる」と記されているが,その原因が被控訴人らが監禁下の控訴人に対して粗末な食事しか与えなかったことにあることは明らかである。
甲3_北里大学宮崎Dr.診断書
<甲3号証 北里大学病院の診断書>


 さらに,かような低栄養で粗末な食事(甲140号証の1添付写真)で毎日ほとんど同じメニューを,1年2か月間にわたって食べさせられていた控訴人の精神的・肉体的苦痛は計り知れないものがあったことは,誰しも自らの立場を置き換えて見れば想像に難くない。
Hirt
Yoru
<2006年12月頃~2008年2月10日の約1年2ケ月にわたってとっていた食事内容の再現>
しかも,控訴人はその間も原判決認定の通り不当に身体の自由を奪われていたのである。

 控訴人が原審で提出した上記客観的証拠に危機感を覚えた被控訴人■<後藤徹氏の妹>は,自らの尋問直前になって,断食後解放までの普通食を再現している(乙イ37号証)が,これなどは被控訴人らの欺瞞性を顕著に物語る好例である。被控訴人■<後藤徹氏の妹>が再現するような食事をとっていたとすれば,控訴人があのようなガリガリに痩せた体になるはずがないことは明かである。 


被控訴人■<後藤徹氏の妹>は,上記普通食により控訴人にだいたい2000カロリーの食事を出していたなどと供述するが(■<後藤徹氏の妹>尋問調書49頁11行~15行),これなどは明らかに事実を偽るものである。一心病院作成のフローシート(1)(甲176号証)によると,控訴人が2008年2月11日に一心病院に入院中の控訴人の体重は,2月17日時点では52.1kgであったのが,42日後の3月30日には65.5kgと13.4kg増加しており,被控訴人の本来の体重である70kg弱に向け順調に回復しているものと言える。一心病院で入院患者に出される通常食の食事メニューは1日当たり1700カロリー前後であり,「大盛」にしても1日2000カロリー前後である。1日2000カロリー前後の食事よって控訴人の体重は42日間でほぼ元に戻っているのである。しかるに,控訴人の解放直後の体重は50kg程度である。従って,荻窪フラワーホームにて控訴人が1日2000カロリー摂っていたとする被控訴人■<後藤徹氏の妹>の供述及び乙イ37号証の再現写真のいずれもが事実を偽るものであることは明らかであり,実際には控訴人の主張通り,同マンションでは1日1000カロリー程度の食事しか出されなかったものである。これなどは,虐待を越え,脱会を強要するための拷問に他ならない。
食事写真
<後藤氏の家族はこのような一日2000カロリーの食事を後藤徹氏に与えていたと主張している。ちなみに後藤氏は入院中の一心病院ではこの食事より低カロリーの食事で42日間で13.4キロ増加した。>



 また,被控訴人■<後藤徹氏の妹>が,低栄養の食事が控訴人において再度断食を行う意向を表していたことを踏まえてのことであったとか,かつて信者であった頃に断食を行った経験を生かして,控訴人の断食明けの食事について配慮し,控訴人の体調を気遣っていたなどというのは,被控訴人■<後藤徹氏の妹>が責任逃れのために苦し紛れに行った弁解にほかならず,不合理極まりなく信用性など皆無である。これを安易に信じるなど裁判所としての見識を疑う。

 そもそも断食後の食事に配慮が必要なのは,断食で弱った胃腸への負担を考慮する必要があるからであり,断食明け直後は重湯,お粥など胃腸への負担の少ないものから始め,徐々に普通食に戻すのである。普通食に戻すまでの期間は,統一教会信者の間では通常断食期間と同じ期間とされている。普通食に戻した後に著しい低栄養食を与え続けることは断食明けの体調への配慮ではない。また,再び断食をする可能性があるからといって,普通食をとれる状態にあるのに必要摂取量の食事を与えないなどという理屈などあり得ない。体重も体力も回復せずに慢性的な低栄養状態にありながら,再び断食に入る方が遙かに危険であることは,常識的な思考ができる人間であれば,誰しもが考えるところであるはずである。

 被控訴人■<後藤徹氏の妹>らは,自分達はカレーライス,カツ丼,ラーメン,てんぷらなどバラエティに富んだ日替わりの食事を楽しみながら,控訴人には毎日ほぼ同じメニューの粗末な食事(甲140の1添付写真)を与え,毎食同じテーブルでの食事を控訴人に強いていたのである(岩本尋問調書46頁,■<後藤徹氏の兄>反対尋問調書54頁)。これが控訴人にとってどれほどの精神的虐待であったかは計り知れない。監禁者と被監禁者とで食事に歴然とした格差をつけ,毎日・毎食その格差を見せつける行為が食事制裁による虐待ではなくして何に該当するというのであろうか。
ラーメン餃子ピーマンカレー
<後藤徹氏の家族は上記のようにバラエティにとんだ食事をしていたが・・・>

HirtYoru
<後藤徹氏は約1年2ケ月こんなかんじの粗末な食事だった>

 これが控訴人の健康を配慮した者がする行為であろうか。そこには悪意しか見出せない。また,解放直前まで粗末な食事しか出さず,抵抗力の欠如した飢餓状態で控訴人を放り出した行動には,控訴人の健康状態を気遣う配慮など一切なく,「健康状態に配慮して」「次の断食に備えて」が嘘であることは明らかである。被控訴人■<後藤徹氏の兄>の陳述書によれば,2007年12月頃から控訴人を解放することを検討していた事実が伺われるが(乙イ10号証号証35頁21行~36頁1行),控訴人を解放するのであれば,控訴人において抗議の断食などもはや必要なくなるのであるから,「次の断食に備えて」などという配慮は不要であったはずである。一方,控訴人をマンションから放り出すのであれば,控訴人にとって一人で生活していくだけの体力が必要であったはずであるが,控訴人は極寒の中,抵抗力が極端に低下した状態で放り出されいきなり約10キロの距離の歩行を余儀なくされた結果,胃腸炎を起こす系統のウイルスに感染したものと見られ,潜伏期間を経た2月13日には急性胃腸炎を発症するに至っており,体温が39度4分まで上昇し,血圧も上が100を切るなど,極めて危険な状態に陥ったものである(甲135号証の1の8頁29行~9頁28行)。

 こうしてみると,被控訴人■<後藤徹氏の妹>等には控訴人の健康状態を気遣う意識など微塵も無かったことが明らかであって,食事制裁は嫌がらせに端を発し,更には控訴人に対する脱会強要の手段として行われたことが明らかである。即ち,被控訴人等は,脱会しない限りまともな食事は出さないという脅迫手段を用い,控訴人の生命身体を危険に曝してまで控訴人に脱会を強要したものであり,その結果控訴人に傷害結果をもたらしたものと言えるのである。

第5 損害額認定に関する不当性

1 原判決の認定

 原判決は,
「原告は,逸失利益についても被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為を相当因果関係のある損害に当たる旨主張するが,前記のとおり,原告は,昭和62年に統一教会のホームに戻った後に自らの意思に基づき大成建設を退職し,統一教会の信徒組織において専ら伝道活動や教育活動に従事する生活を送り,平成7年当時においてもそのような生活を続けていたことに加え,同年9月11日から平成20年2月10日までの間の原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していたことが窺われることなどからすれば,逸失利益に係る原告主張の事情は,後記の慰謝料算定に当たって勘案するにとどめるのが相当であると認める」(判決書62頁22行~63頁4行)
と判示して控訴人の被った逸失利益の損害を否定し,他方,慰謝料を400万円と算定した(判決書63頁)。

2 原判決の不当性

(1) 逸失利益損害

  原判決が指摘する「原告は,昭和62年に統一教会のホームに戻った後に自らの意思に基づき大成建設を退職し,統一教会の信徒組織において専ら伝道活動や教育活動に従事する生活を送り,平成7年当時においてもそのような生活を続けていたこと」とは,要は控訴人が拉致された当時は無職無収入であったことを言わんとしているものである。

  そもそも控訴人が昭和62年に大成建設を辞めたのは,実際には自分の意思で辞めたのではなく,控訴人が荻窪栄光教会から脱出した後に父■<後藤徹氏の父>が控訴人に無断で勝手に退職手続を行ったもので(後藤■<後藤徹氏の兄>反対尋問調書16頁26行~17頁1行),控訴人が自らの意思で退職したのではない。

兄反対尋問16頁
<後藤徹氏の兄の反対尋問16頁~17頁 後藤氏が自分の意思で退職したのではないことが語られている。原判決の内容が事実誤認であることがこれを見るとわかる>

  次に,確かに控訴人は本件拉致当時においては信徒組織の活動に従事していて無職であったが,拉致される前月にS・Kと合同結婚式受け,家庭を持つに当たって控訴人においては一般の会社に勤める予定でいたものである(甲9号証「岩本陳述書」7頁5行~7行,甲90「S・K陳述書」4頁8行~15行)。信徒組織の活動に専従する青年信者が家庭を持つ場合には,家庭を維持するため,一般の会社に就職するなどして生計を得る道を選ぶのが通常であり,一生を無職・無収入で過ごす者などいない。控訴人が監禁されていた12年以上もの期間,仮に控訴人が社会に居たとして,その間,無職であり続けたなどということはあり得ないことである。逸失利益損害を否定した原判決は不当であることは誰の目にも明かである。
  統一教会信者であるが故に逸失利益損害が認められないとすれば,信仰による不当な差別であるというほかななく,原判決は憲法違反であるとの疑いもある。
  また,「同(平成7)年9月11日から平成20年2月10日までの間の原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していたことが窺われること」を理由に逸失利益損害を否定した原判決の論理に至っては,裁判所の良識を疑わざるを得ない。

 12年間以上もの長きに亘りマンションの一室に監禁され,ただの一度も外出を許されず,婚約者をはじめ外部者とただの一度も連絡をとることも叶わず,運転免許の更新も選挙権の行使の機会も全て奪われ,ただひたすらに6畳程度の狭いスペースに居続けることを強要され,その間,棄教強要の精神的苦痛を受け続け,果ては食事制裁による栄養失調によりガリガリに痩せ細るまでに追い込まれた控訴人の監禁生活である。この間,控訴人の生命を維持するに必要最低限の生活費を被控訴人ら監禁者らが負担したとして,それが控訴人の身柄拘束により失った時間とその間の逸失利益損害を穴埋めすることになるとでもいうのであろうか。12年間以上もの人生を奪っておきながら,その間の控訴人の生命維持に必要な生活費を賄ったからと言って,逸失利益損害と相殺されるというのであろうか。原判決の上記論理は不当であることこの上ないというべきである。

 以上の通り,控訴人の逸失利益損害を否定した原判決は不当である。

(2) 慰謝料

 12年間以上もの人生を奪われ,肉体的・精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料をわずか400万円と算定した原判決の人権感覚を疑うものである。この世の中に12年間にもわたる自らの人生を400万円と交換に売り渡す者が一体どこにいようか。果たして原審裁判官は,自ら控訴人の立場に我が身を置き換えて考えた上で判断をしたのであろうか。控訴人が請求する慰謝料1億円は最低限の金額である。
 後記の通り,「親族であれば人権侵害を大目に見るべきである」との感覚は国際社会にはなく,親族であるが故に賠償額を軽減すること自体不当である。

(3) 原判決の余りにも低額に過ぎる損害額の認定は,国際社会からも厳しい批判を受けているところであり,このままでは日本の司法への信頼を失墜させ,日本の司法の人権感覚への疑念を招くものとなっていることを認識すべきである(甲169号証「世界日報」記事,甲170の1,2「ワシントン・タイムズ」記事)。
甲169世界日報記事
<甲169号証 世界日報の記事 「国境なき人権」ウィリー・フォートレー氏が原判決を痛烈に批判>


第6 国際法違反

原判決は,共同不法行為理論に関する従来の解釈の逸脱や,被告■<後藤徹氏の妹>等による食事制裁の正当化など,控訴人と被控訴人■<後藤徹氏の兄>らとの親族関係を過度に意識し,また,統一教会に対する一部マスコミが作出した偏見に引きずられたとしか考えられない認定・判断が随所に見られる。しかしながら,こうした考慮の故に事実認定に手心を加えたり,法解釈を歪めることは,こと人権問題においては,あってはならない。特に後者について言えば,韓国においてはかつて統一教会を迫害したマスコミが今は公正な報道に努めるようになり,統一運動がいかに世界とアジアの平和の実現に貢献したかを報道するにまで至っているのであって,マスコミの風潮など時と共に変化するものなのであるから(甲168号証の1,2,3「韓国MBCネット放送」),裁判所としては人権の普遍的価値を見据えてこれを擁護すべきものである。

裁判所も国家機関である以上,条約遵守義務を負うものであり(憲法98条2項),これまで我が国が締結してきた世界人権宣言や国際人権規約等の多国間条約にも拘束されることは論をまたない。特に,国際人権規約のうち自由権規約は,宗教の自由(18条),身体の自由及び安全についての権利(9条),住居移転の自由(12条),拷問,残虐な取扱い・刑罰の禁止(7条),差別の禁止(26条)等を保障するが,国際的基準においては,人権侵害における加害者・被害者間の親族関係や宗教的偏見の考慮は一切認められていない。したがって,裁判所も親族関係を考慮して人権侵害を看過・放置するような認定判断を行うことは許されない。この点,既に述べた通り,事実認定及び法の解釈適用において人権への配慮に著しく欠ける原判決は,これら国際法にも違反しているものと言える。

 これまでの統一教会信者に対する拉致監禁,脱会強要事件に対する政府の対応は,自由権規約が保障する上記規定等に違反することが,海外の人権擁護家らによって指摘されてきたところである。こうした批判は統一教会信者に対する拉致監禁,脱会強要事件に対する我が国の司法に対しても向けられており,こうした批判を盛り込んだ報告書(現在翻訳中)が昨年,国連の規約人権委員会に提出されたことを受けて,今年7月には同委員会にて日本政府に対し,拉致監禁,脱会強要問題についての質問が行われることが決まっている。

原判決が維持されるなら,今後も我が国が国際社会において糾弾され続けることは間違いないが,裁判所が下す人権侵害を容認する判決によって我が国の国際的信用を損ねる結果になることはあってはならないのであって,この点からも原判決は変更を免れない。
以 上


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2014-06-23(Mon)
 

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ご苦労さまでした。 

 控訴理由書のアップ、ご苦労さまでした。
 もうちょっと改行、行間空けがあってもいいと思うけど、読みやすかったですよ。

 多くの人に読んでもらいたいと願っています。
2014-06-24 11:34 | 米本 | URL   [ 編集 ]

Re: ご苦労さまでした。 

米本様
ご無沙汰しております。

気持ち行間あけを増やしてみました。

それと、うっかり掲載するのを忘れていた写真も追加しました。

後藤氏の家族が、後藤氏に出していたと主張する食事の再現写真です。
写真で見る限りなかなかおいしそうです。

こんなご飯を毎日食べていたら、あんなにやせるわけはないですし、わざわざゴミ箱をあさってりんごの皮を食べるなんてこともしなかったと思いますが・・・・





2014-06-25 21:52 | yama | URL   [ 編集 ]

監禁加害者へ肩入れ 

<原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していたことが窺われる>(原判決)

粗末な食事でガリガリになり、自然の空気を吸うことも、日光にも当たることができず、まるまる12年5ヶ月、囚人以下の生活をさせられた。
なのに、「生活費を負担」とは…。
聞いてあきれる。

かつて、監禁犯の「生活費負担」が考慮されたことがあったのだろうか…。

地裁の裁判長が、統一教会=反社会的団体という色眼鏡でみて、監禁加害者に気持ち的に肩入れしていることが分かる。
2014-06-26 08:37 | みんな | URL   [ 編集 ]

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プロフィール
拉致監禁被害者後藤徹氏の裁判を支援する会
世話人:宿谷麻子 <2012年10月15日逝去>
(強制脱会者)
世話人:koyomi
(強制脱会者)
世話人:小川寿夫
(自主脱会者)
世話人:yama
(強制脱会説得体験者。教会員)

連絡先:gotosaiban-contactus@yahoo.co.jp

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