12年の拉致監禁後の後藤徹氏の身体状態ーその①
12年5ヶ月間、監禁された後藤徹氏の身体状態はどうだったのでしょうか?
監禁から解放された翌深夜の2月11日~3月31日まで入院していた、一心病院の2名の医師の診断書をアップ致します。
(再度のアップになります。)
(以前、アップした記事は↓です。
医師の診断書から検証する監禁時の食事制裁
医師の診断書から検証する監禁時の食事制裁(2))
前回紹介しました栄養士の下記の回答と実際の身体状態がどうだったのかを、比べてみていただきたいと思います。

※解説は青字で書かせていただきました。
※最終準備書面からの引用文は赤字にさせていただきました。
※強調したい部分は太字にさせていただきました。
※表、図は実際の診断書には記載されていません。
監禁から解放された翌深夜の2月11日~3月31日まで入院していた、一心病院の2名の医師の診断書をアップ致します。
(再度のアップになります。)
(以前、アップした記事は↓です。
医師の診断書から検証する監禁時の食事制裁
医師の診断書から検証する監禁時の食事制裁(2))
前回紹介しました栄養士の下記の回答と実際の身体状態がどうだったのかを、比べてみていただきたいと思います。

※解説は青字で書かせていただきました。
※最終準備書面からの引用文は赤字にさせていただきました。
※強調したい部分は太字にさせていただきました。
※表、図は実際の診断書には記載されていません。
甲第2号証
診断
全身筋力低下
廃用性筋萎縮(特に両下肢)
栄養失調
平成20年2月11日、上記疾患にて入院。
歩行困難にてリハビリテーションを行い、平成20年3月31日退院となりました。
歩行は可能となりましたが、両下肢の関節痛、筋肉痛がまだみられます。
上記のように診断いたします。
平成20年4月2日
総合病院 一心病院
医師 有田
甲第4号証
診断書
病名)栄養失調 貧血
主訴は、両膝痛、歩行困難を主訴に来院した。栄養管理の依頼が出され、診察した。
外見上、るいそう(やせ)が著名であり、肋骨は浮き出ており、上肢下肢ともやせ衰えていた。
また、顔色は悪く、貧血があると思われた。

身長182㎝に対して、脱水が改善したと思われる入院後5日目でも体重は52.1kgであり、BMI(注1)は15.7と、かなりのやせであると思われた。
上腕三頭筋部皮下脂肪厚(注2)2mm、上腕周囲径(注3)20.7cmと同年齢の標準値をかなり下回っている。
血液検査データー上も、赤血球(注4)399万/μℓ、ヘモグロビン(注5)12.1g/dℓと、貧血であり、末梢血リンパ球数(注6)699mm³であり、長期にわたる栄養不良のため免疫能の低下まできたしていると考えられた。
これは危険な状態であった。
本人から事情をうかがったところ、12年5ヶ月に亘って家族から監禁され、この1年10ヶ月の間まともな食事を食べていないとのことであった。
即ち、2006年4月に監禁に抗議してハンガーストライキを行い、水しか摂取せず、その後も70日間に亘って重湯と一日1リットルのポカリスエットしか支給されなかったとのことであり、同年7月以降の1年5ヶ月間は、朝200カロリー、昼400カロリー、夕450カロリーで、合計1050カロリー(当院管理栄養士の推定による計算)という食事しか家族から与えられていなかったとのことである。
1日に合計1050カロリーとの食事に付いて見ても、厚生労働省の出している推定必要エネルギー量(資料1)を大きく下回る。
たんぱく質の量は、30~40gであり(当院管理栄養士の推定による計算)、これは厚生労働省の出しているたんぱく質の推定平均必要量(資料2)さえも下回っていた。

<参照:栄養士が回答した必要摂取量>
このような状況は家族からの虐待にあたり、生命に危険の及ぶレベルと判断し、巣鴨警察に届け出た。
その後の検査で、鉄欠乏、亜鉛欠乏、葉酸欠乏なども明らかになった(詳細は割愛)。
入院して、1ヶ月して、体重は61kg(BMI18.4)まで、回復した。
上腕三頭筋皮下脂肪厚は変化ないものの、上腕周囲長は、23.8cmとなった。
赤血球375万、ヘモグロビン10.6と未だ貧血の値は改善していないが、リンパ球数は、1200/mm³と免疫能が危険な状態からは脱している。

<蛋白ーエネルギー栄養不良より引用>
注1 BMI ボデイマス・インデックス(体格指数)
肥満、るいそうの程度を比較する際、汎用される指標でBMI=体重(kg)/身長(m)²の式にて求められる。
中略22を標準体重としている。中略18.5未満を低体重と判定するとされた。
後藤さんの入院5日目の身長、体重に当てはめて計算すると、52.1÷1.82÷1.82=15.72877671
上の表に当てはめると、15.7は16未満であるので、重度の栄養不良となる。
注2 上腕三頭筋部皮下脂肪厚
皮下脂肪は全脂肪の約50%を占め、長期の栄養障害によって減少するため、体脂肪量やエネルギー貯蔵量を評価できる。標準値 男性 8.3mm(90%以下だと栄養不良)

<身体計測法より引用>
注3 上腕周囲径;骨格筋(筋タンパク)量を評価できる。標準値 男性 27.4cm(90%以下だと栄養不良)
60%以下:高度栄養障害 60~80%:中度栄養障害 80~90%:軽度栄養障害 90%以上:正常
・後藤さんの上腕三頭筋部皮下脂肪厚から栄養状態を判断すると、2mmは標準値8.3mmの24%であるから、高度栄養障害にあたる。
・後藤さんの上腕周囲径から栄養状態を判断すると、20.7cmは27.4cmの75%であるから、中度栄養障害にあたる。

<身体計測法より引用>

<www.kspub.co.jp/download/1553460/p004_worksheet1-2.docより引用>
AC=上腕周囲径 TSF=上腕三頭筋部皮下脂肪圧
・後藤さんの上腕周囲径と上腕三頭筋部皮下脂肪圧は、85歳以上の平均値よりずっと低い。
注4 赤血球;当病院検査室での正常値 男性425~571万/μℓ
注5 ヘモグロビン;当病院検査室での正常値 男性13.4~17.6g/dℓ
注6 末梢リンパ球数
免疫能の指標となる。通常では、2,000/mm³以上であるが、栄養状態が不良になると減少する。
上の表「蛋白ーエネルギー栄養不良の重症度を評価するための一般的測定項目」を参照。
末梢リンパ球数が800未満は重度の栄養不良により、免疫能が低下している状態である。
実際、後藤徹氏は、入院4日目に発熱、下痢を起こしている。

実際にも原告は,2月10日の解放時に極寒の中,免疫力が低下した状態でいきなり約10キロの距離の歩行を余儀なくされた結果,胃腸炎を起こす系統のウイルスに感染したものと見られ,潜伏期間を経た2月13日には急性胃腸炎を発症するに至っており,体温が39度4分まで上昇し,血圧も上が100を切るなど,極めて危険な状態にあったものである。
<後藤徹氏最終準備書面⑤より引用>
以上参照文献;医学大辞典 第19版 南山堂
一心病院 内科 小出浩久
2008年 4月9日
次回は、一心病院外の医師の診断書を紹介させていただきます。
これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
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診断
全身筋力低下
廃用性筋萎縮(特に両下肢)
栄養失調
平成20年2月11日、上記疾患にて入院。
歩行困難にてリハビリテーションを行い、平成20年3月31日退院となりました。
歩行は可能となりましたが、両下肢の関節痛、筋肉痛がまだみられます。
上記のように診断いたします。
平成20年4月2日
総合病院 一心病院
医師 有田
甲第4号証
診断書
病名)栄養失調 貧血
主訴は、両膝痛、歩行困難を主訴に来院した。栄養管理の依頼が出され、診察した。
外見上、るいそう(やせ)が著名であり、肋骨は浮き出ており、上肢下肢ともやせ衰えていた。
また、顔色は悪く、貧血があると思われた。

身長182㎝に対して、脱水が改善したと思われる入院後5日目でも体重は52.1kgであり、BMI(注1)は15.7と、かなりのやせであると思われた。
上腕三頭筋部皮下脂肪厚(注2)2mm、上腕周囲径(注3)20.7cmと同年齢の標準値をかなり下回っている。
血液検査データー上も、赤血球(注4)399万/μℓ、ヘモグロビン(注5)12.1g/dℓと、貧血であり、末梢血リンパ球数(注6)699mm³であり、長期にわたる栄養不良のため免疫能の低下まできたしていると考えられた。
これは危険な状態であった。
本人から事情をうかがったところ、12年5ヶ月に亘って家族から監禁され、この1年10ヶ月の間まともな食事を食べていないとのことであった。
即ち、2006年4月に監禁に抗議してハンガーストライキを行い、水しか摂取せず、その後も70日間に亘って重湯と一日1リットルのポカリスエットしか支給されなかったとのことであり、同年7月以降の1年5ヶ月間は、朝200カロリー、昼400カロリー、夕450カロリーで、合計1050カロリー(当院管理栄養士の推定による計算)という食事しか家族から与えられていなかったとのことである。
1日に合計1050カロリーとの食事に付いて見ても、厚生労働省の出している推定必要エネルギー量(資料1)を大きく下回る。
たんぱく質の量は、30~40gであり(当院管理栄養士の推定による計算)、これは厚生労働省の出しているたんぱく質の推定平均必要量(資料2)さえも下回っていた。

<参照:栄養士が回答した必要摂取量>
このような状況は家族からの虐待にあたり、生命に危険の及ぶレベルと判断し、巣鴨警察に届け出た。
その後の検査で、鉄欠乏、亜鉛欠乏、葉酸欠乏なども明らかになった(詳細は割愛)。
入院して、1ヶ月して、体重は61kg(BMI18.4)まで、回復した。
上腕三頭筋皮下脂肪厚は変化ないものの、上腕周囲長は、23.8cmとなった。
赤血球375万、ヘモグロビン10.6と未だ貧血の値は改善していないが、リンパ球数は、1200/mm³と免疫能が危険な状態からは脱している。

<蛋白ーエネルギー栄養不良より引用>
注1 BMI ボデイマス・インデックス(体格指数)
肥満、るいそうの程度を比較する際、汎用される指標でBMI=体重(kg)/身長(m)²の式にて求められる。
中略22を標準体重としている。中略18.5未満を低体重と判定するとされた。
後藤さんの入院5日目の身長、体重に当てはめて計算すると、52.1÷1.82÷1.82=15.72877671
上の表に当てはめると、15.7は16未満であるので、重度の栄養不良となる。
注2 上腕三頭筋部皮下脂肪厚
皮下脂肪は全脂肪の約50%を占め、長期の栄養障害によって減少するため、体脂肪量やエネルギー貯蔵量を評価できる。標準値 男性 8.3mm(90%以下だと栄養不良)

<身体計測法より引用>
注3 上腕周囲径;骨格筋(筋タンパク)量を評価できる。標準値 男性 27.4cm(90%以下だと栄養不良)
60%以下:高度栄養障害 60~80%:中度栄養障害 80~90%:軽度栄養障害 90%以上:正常
・後藤さんの上腕三頭筋部皮下脂肪厚から栄養状態を判断すると、2mmは標準値8.3mmの24%であるから、高度栄養障害にあたる。
・後藤さんの上腕周囲径から栄養状態を判断すると、20.7cmは27.4cmの75%であるから、中度栄養障害にあたる。

<身体計測法より引用>

<www.kspub.co.jp/download/1553460/p004_worksheet1-2.docより引用>
AC=上腕周囲径 TSF=上腕三頭筋部皮下脂肪圧
・後藤さんの上腕周囲径と上腕三頭筋部皮下脂肪圧は、85歳以上の平均値よりずっと低い。
注4 赤血球;当病院検査室での正常値 男性425~571万/μℓ
注5 ヘモグロビン;当病院検査室での正常値 男性13.4~17.6g/dℓ
注6 末梢リンパ球数
免疫能の指標となる。通常では、2,000/mm³以上であるが、栄養状態が不良になると減少する。
上の表「蛋白ーエネルギー栄養不良の重症度を評価するための一般的測定項目」を参照。
末梢リンパ球数が800未満は重度の栄養不良により、免疫能が低下している状態である。
実際、後藤徹氏は、入院4日目に発熱、下痢を起こしている。

実際にも原告は,2月10日の解放時に極寒の中,免疫力が低下した状態でいきなり約10キロの距離の歩行を余儀なくされた結果,胃腸炎を起こす系統のウイルスに感染したものと見られ,潜伏期間を経た2月13日には急性胃腸炎を発症するに至っており,体温が39度4分まで上昇し,血圧も上が100を切るなど,極めて危険な状態にあったものである。
<後藤徹氏最終準備書面⑤より引用>
以上参照文献;医学大辞典 第19版 南山堂
NSTガイドブック 日本病態栄養学会 メディカルレビュー社
日本人の食事摂取基準 2005年版 抗せ労働省 第一出版
一心病院 内科 小出浩久
2008年 4月9日
次回は、一心病院外の医師の診断書を紹介させていただきます。

これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
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2014-05-21(Wed)
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