後藤徹氏裁判判決文⑤-主文のとおり判決する。
判決文の最終回をアップ致します。
ここでは、被告の不法行為の成否、また理由、損害賠償の内容が記載されています。
今回の判決で、被告の後藤兄夫婦、妹、宮村氏の一部不法行為が認定され、賠償金支払い命令が出たことは、原告の後藤徹氏にとっては意義あるものでした。
しかし、後藤氏の主張する被告側の不法行為が認められてない点も多いです。
原告側が今回認められなかった不法行為をどのように訴え、認定されるようにするか、被告側が今回認定された不法行為をどう覆すかが、今後の高等裁判所での争点となります。
尚、後藤徹氏は2月10日に控訴状を提出しました。
高等裁判所での裁判は短期決戦で、早ければ半年で判決が出るようです。
※所々、タイトルを入れました。
これは、実際の判決文には記載されていません。
※判決文について、米本氏、yoshi氏、秀氏、エイト氏がブログをアップしています。
そちらも合わせてお読みくだされば、よりわかりやすいと思います。
宮村の嘘は判事にはお見通しだぁ!
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後藤裁判の判決:最大の問題点 - しぶしぶの同意と偽装脱会の扱い
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“拉致・監禁”は認定されず、キャンペーン失敗の後藤事件地裁判決は統一教会サイドの実質敗訴か
今回アップする部分は青字

2 被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否について
(1) 被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する不法行為の成否について
ア 後藤氏家族は被告宮村,松永の指示に従い,原告の逃走防止等措置を行った事実
前記認定事実及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告がその不法行為該当性を主張する平成7年9月11日から平成20年2月10日までの一連の事実経緯は前記1(1)シからチまでに認定のとおりであり,その間の両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する対応は,概して,信者に対する脱会説得につきそれぞれ多くの経験を有していた被告松永及び被告宮村がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものであり,各滞在場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点が置かれたものであって,その全体を通じ,原告にとって,その意に反する強制的な要素を含むものであったことは明らかであるというべきである。
イ 被告の違法性が認めらない時期と理由
(ア) もっとも,平成7年9月11日の亡■<後藤徹氏の父>宅における状況は,前記認定のとおりであって,原告においては,渋々ではあったものの,亡■<後藤徹氏の父>らの求めに応じ,自らワゴン車に乗り込んでおり,当該状況の態様をもって,直ちに原告が主張するような原告に対する拉致行為があったものと認めることはできず,その際の被告■<後藤徹氏の兄>らの行為に違法性を認めることはできない。
(イ) また,亡■<後藤徹氏の父>宅からパレスマンション多門への移動及びパレスマンション多門における滞在,パレスマンション多門から荻窪プレイスへの移動及び荻窪プレイスにおける滞在並びに荻窪プレイスから荻窪フラワーホームへの移動に関しては,原告自身,既に前記1(1)サのとおり家族から脱会説得を受けた場合の対処方を心得ており,偽装脱会を行って時期をみて統一教会のホームに戻ることを企図しながら,話合いに応ずる姿勢を示していたことが窺われ,また,本件証拠上,その間を通じて,被告■<後藤徹氏の兄>らに対して各滞在場所から自身を退出させるよう求めたり,機会をねらって各滞在場所からの退出を試みたり,各移動に際して抵抗を試みたりしたことが窺われないことからしても,原告が自身の置かれた状況を一応容認していたことが窺われる(このことは,前記1(1)ナ(イ)の原告の供述内容からして,原告がパレスマンション多門及び荻窪プレイスに滞在している間,各監禁場所の出入口の施錠の状況に強い関心を寄せてなかったことが窺われること,同ソ(ア)の事実からして,原告がパレスマンション多門から亡■<後藤徹氏の父>宅への移動の機会を捉えて逃走等を行おうとする意図を全く有していなかったことが窺われること等からしても,明らかである。)ところであって,その間の被告らの行為については,直ちに違法性を認めることは困難であるというべきである。

<後藤家(世話人Xの想像)
パレスマンション多門
荻窪プレイス
荻窪フラワーホーム>
ウ 被告の原告に対する不法行為が認められる時期と理由
(ア)これに対し,原告が平成9年12月に荻窪フラワーホームに移動した後間もなく偽装脱会の告白をして以降は,
①常に被告■<後藤徹氏の兄>らのいずれかが原告と共に荻窪フラワーホームに滞在して原告と行動を共にし,原告が一人で外出することや,外部との連絡をとることを許容されなかったことに加え,
②原告が退出の意向を示したにもかかわらず,被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて,玄関に向かおうとする原告を取り押さえるなどしていたこと,
③原告が,上記の状況に置かれていることについて,被告■<後藤徹氏の兄>らに対して明示的に抗議の意を表していたこと,
④原告の行動範囲に対する著しい制限が長期間に及び,原告の全身の筋力が低下するに至ったこと

が認められるところであって,これらの点からすれば,上記期間中の被告■<後藤徹氏の兄>らの行為については,原告の明示の意思に反してその行動の自由を大幅に制約し,外部との接触を断たせ,原告の心身を不当に拘束したものと評価せざるを得ず,原告に対する不法行為を構成するというべきである。
(イ) また,前記認定事実によれば,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告に対し,専ら原告が信者であることを問題視し,原告がその信仰を改めるよう,信者に対する脱会説得に係る豊富な経験を有する被告松永や被告宮村の助力を得ながら,一貫して原告の説得に当たっていたものと認められるから,被告■<後藤徹氏の兄>らの前記(ア)の行為については,原告に統一教会に対する信仰を棄てさせるとの目的の下に行われたものであることは明らかであり,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告に対し,棄教をしない限り,その置かれた状態から解放されないことをその態度をもって示していたものというべきであるから,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告に対し,前記(ア)の行為を通じて原告に対して棄教を強要したものであり,被告■<後藤徹氏の兄>らの当該行為は,原告に対する不法行為を構成するものと認めるのが相当である。
(ウ) 被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が荻窪フラワーホームに滞在していた間,原告のほかには被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>のみ在室していることがほとんどであり,原告と被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>との体格差からすれば,原告が容易に退出することのできる状態にあった旨等を主張するところ,確かに,前記認定事実からは,原告が被告■<後藤徹氏の妹>又は■<後藤徹氏の母>のみと在室していた時間は多く,特に前記1(1)タ(キ)の各機会を含め,実力行使で退出を試みるに適した機会も少なくなかったことが窺われ,また,原告と被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>との間に相応の体格差があったことは被告■<後藤徹氏の兄>ら主張のとおりであるが,原告が平成7年9月11日以降,各滞在場所間の移動の機会を除いてはほとんど外出をしておらず,長期間にわたりその行動範囲が著しく制限されていた結果,上記滞在期間中には相応の筋力の低下が生じていたことが窺われることに加え,被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>が自身の肉親であること等に照らせば,原告が,被告■<後藤徹氏の妹>又は■<後藤徹氏の母>に対して有形力を行使してまで荻窪フラワーホームからの退出を試みることをしなかったとしても,そのことから直ちに荻窪フラワーホームにおける滞在が原告の意に反するところではなかったものとみることはできず,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張は直ちに前記認定説示を左右するものではなく,採用することができない。
被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が統一教会の教義に従い,家族を救済する目的の下に上記各居室に居座り続けた旨をも主張するが,原告自身,これを明確に否定するところであり,本件全証拠によるも,荻窪フラワーホームに滞在中の原告の行動が上記のような目的の下に行われていたことを窺わせる事情は認められず,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張は採用することができない。

<エイト氏が自身のブログで、被告が出したこの本とこの箇所が証拠として採用されないのはおかしいと語っている。>
<エイト氏のブログはこちら 「証拠採用に偏りあり」を参照>
また,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が,荻窪フラワーホームを退出してから約5か月後に,亡■<後藤徹氏の父>宅を突如訪問したことからすれば,原告が監禁され,棄教を強要されていたという事実はないことは明らかである旨をも主張するところ,原告が荻窪フラワーホームを退出した後に亡■<後藤徹氏の父>宅を訪問したことがあったことは被告■<後藤徹氏の兄>らの主張のとおりであるが,当該訪問は事前の予告なく行われたものであり,平成7年9月11日に原告が亡■<後藤徹氏の父>から招かれて亡■<後藤徹氏の父>宅を訪問した際の状況とは異なり,■<後藤徹氏の母>や被告■<後藤徹氏の妹>において脱会説得のための準備など行い得る状況ではなかったことは明らかであって,そのことは原告においても了知していたものとみられるから,当該訪問の事実は,直ちに前記説示を左右するものとみることはできない。
さらに,被告■<後藤徹氏の兄>らは,組織的に反社会的活動を行っている団体であることが極めて明白である統一教会により精神の自由を実質的に拘束され,精神的呪縛のもとにある原告に対し,自分自身で考え,信者として組織的な反社会的活動に関わり続けることの問題点に気付いてほしいという気持ちから,話合いに応じるように必死で原告に対する説得を試みたものであり,原告においても,不承不承ながらもこれに応じていたものである旨主張するが,前記認定事実によれば,原告は,遅くとも荻窪フラワーホームに移動し,偽装脱会の告白をした後においては,その場に留まり続けて家族らと共に生活を行い,話合いを続ける意思を有しておらず,しばしば退出の意向を明示していたことは明らかであって,当時において統一教会について問題のある団体である旨の報道等が広くされており,被告らがそのような統一教会の信者である原告を案じていたことが容易に推察されることを踏まえても,成人男性である原告を長期間にわたって1か所に留めおき,その行動の自由を大幅に制約し,外部との接触を断たせた上で説得を試みることについては,その説得の方法として社会通念上相当というべき限度を逸脱したものとみざるを得ない ところであって,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張については採用することができない。
エ 原告が主張した「食事制裁」を採用しない理由
なお,原告は,被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて,原告が荻窪フラワーホームに滞在中にハンガーストライキを終えた後においても,原告に対して粗末な食事しか与えずに食事制裁を行い,原告を虐待した旨主張するが,前記1(1)タ(キ)のとおり,上記滞在中の原告の食事は■<後藤徹氏の母>及び被告■<後藤徹氏の妹>において用意されており,被告■<後藤徹氏の妹>は,かつて信者であった頃に断食を行った経験を生かして,原告の断食明けの食事について配慮し,原告の体調を気遣っていたこと等が認められるところであって,原告が3度目の断食を行った後に出された普通食が原告と同等の身長の一般男性に必要とされるカロリーを摂取するに十分なものではなかったことも,原告において再度断食を行う意向を表していたことを踏まえてのことであったことを考慮すれば,上記の原告の食事に係る事情については,直ちに違法な点を見いだすことはできず,原告の上記主張は採用しない。
<世話人Xの疑問:妹さんは、信者だった頃の断食の経験は最高何日だったのか?>
<C:解放前1年2か月の食事>




<解放前1年2か月の昼食、夕食写真>

<証拠採用された甲140号証 栄養士に対する照会書と回答 照会書と回答の一部>
(2) 被告松永の原告に対する不法行為の成否について
ア 被告松永の不法行為が認められない理由
被告松永が,平成7年当時,既に信者に対する脱会説得につき多くの経験を有しており,信者の家族らに対し,信者に対する脱会説得の方法を指導していたこと,本件における同年9月11日から平成20年2月10日までの間の両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する対応が,概して,信者に対する脱会説得につき多くの経験を有していた被告松永がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものであったことは前記認定のとおりである。
しかしながら,本件における被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する行為のうち,原告に対する不法行為の成立を認め得るものは,平成9年12月に荻窪フラワーホームに移動した後の偽装脱会の告白後のものに限られることは前記認定説示のとおりであるところ,前記認定事実から明らかなとおり,被告松永は,原告がパレスマンション多門を退出した後は,原告が荻窪フラワーホームに移動した後に原告の元を一度訪問したことがあったものの,その脱会説得にはほとんど関与していなかったものと認められるから,被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する前記不法行為が被告松永の指導又は指揮命令の下に行われたものとみることはできず,被告松永については,被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する不法行為に係る共同不法行為責任は負わないものと認めるのが相当である。
イ 手記が強要行為にならない理由
なお,原告は,被告松永が平成8年頃原告に対して手記を書くことを強要した旨主張するが,前記認定のとおり,被告松永は,原告が脱会の意向を表明した後において,原告に対して手記を書くことを勧めたものであって,本件証拠上,そのことについて何ら強制的な要素は窺われないところであるから,被告松永の上記行為が原告に対する違法な強要行為に当たるものとみることはできず,原告の上記主張は採用することができない。

<甲98-3の6枚目>
(3) 被告宮村の原告に対する不法行為の成否について
ア 被告宮村が後藤兄らの不法行為に加担したと認められる時期と理由
前記認定事実によれば,被告宮村は,信者に対する脱会説得につき多くの経験を有し,その経験に基づき,水茎会などの場において,信者の家族らに対し,脱会説得の実践的・実効的な方法を指導していたところ,被告■<後藤徹氏の兄>らは,水茎会に通い,宮村の下でその方法を学び,原告を荻窪フラワーホームに移動させた後も,その方法に則って原告に対する脱会説得の試みを続け,被告宮村も,原告が荻窪フラワーホームにおいて不当に心身を拘束されていることを認識しつつ,平成10年1月頃から同年9月頃まで,頻繁に元信者らを連れて原告の元を訪れ,脱会を強要したことが認められるから,被告宮村については,被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する前記不法行為のうち,上記期間に係る部分について,これに加担したものと認めるのが相当である。

イ 被告宮村の不法行為が認められない時期と理由
なお,前記認定のとおり,被告宮村は,平成10年9月頃までは荻窪フラワーホームに頻繁に足を運んでいたが,その後は,被告■<後藤徹氏の兄>から家族で話し合う旨を告げられ,原告の元を訪れることをやめており,その後の原告の荻窪フラワーホームにおける滞在に関し,被告宮村の指導又は指揮命令その他の何らかの関与があったことを示す確たる証拠も存しないから,被告宮村による被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為への加担は,平成10年1月頃から同年9月頃までの斯間に係る部分に限られ,その後の原告の荻窪フラワーホームにおける滞在に関しては,被告宮村において不法行為責任を負うところはないものというべきである。
この点について,原告は,被告宮村において原告が断食をした事実を認識していたことからして,平成10年9月頃以降も被告宮村が原告に対する監禁及び棄教の強要を指導していた旨主張するが,前記認定のとおり,被告宮村がその経営するタップの従業員である被告■<後藤徹氏の兄>から断食に係るものも含めた原告の様子について話を聞くことがあったことは認められるものの,そのことから直ちに上記の指導に係る事実があったものとまで推認することはできず,原告の上記主張は前記説示を左右しない。
3 損害額について
(1)原告が被った損害額
被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為により原告が被った損害額については,以下のとおり,後記アからウまでの合計483万9110円であると認めるのが相当である。
なお,原告は,逸失利益についても被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為と相当因果関係のある損害に当たる旨主張するが,前記のとおり,原告は,昭和62年に統一教会のホームに戻った後に自らの意思に基づき大成建設を退職し,統一教会の信徒組織において専ら伝道活動や教育活動に従事する生活を送り,平成7年当時においてもそのような生活を続けていたことに加え,同年9月11日から平成20年2月10日までの間の原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していたことが窺われることなどからすれば,逸失利益に係る原告主張の事情は,後記の慰謝料算定に当たって勘案するにとどめるのが相当であると認める。
ア 治療費 33万9110円
前記のとおり,原告は,その行動範囲に対する著しい制限が長期間に及び,原告の全身の筋力が低下するに至り,その治療のため,平成20年2月11日から同年3月31日まで,一心病院に入院したことが認められ,また,証拠(甲8の1から10まで)<※参照>によれば,その入院治療費用及びこれに関連する一心病院,東京都立大塚病院及び北里大学病院における各通院治療費用等として,合計33万9110円の支出をしたことが認められるから,その全額について,被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為との相当因果関係を認めるのが相当である。

※甲8の1~10
甲8の1~2: 入院診療費領収証 一心病院 原告の損害(治療費)H20/3/8, 3/31
甲8の3~6: 外来診療費領収証 一心病院 同上 H20/4/2, 4/3
甲8の7~9:領収証書 東京都立大塚病院 同上 H20/3/11, 3/12,3/13
甲8の10: 外来診療費領収書 北里大学病院 同上 H20/4/4
イ 慰謝料 400万円
(ア) 前記のとおり,原告は,被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為により,10年以上もの長期間にわたり,その明示の意思に反してその行動の自由が大幅に制約され,外部との接触が許されない環境下に置かれ,その心身を不当に拘束され,棄教を強要されたものであり,そのことにより原告が被った精神的苦痛は極めて大きいものと認められる。
(イ) もっとも,前記のとおり,被告■<後藤徹氏の兄>らが前記不法行為に及んだのが原告を案ずる家族としての愛情からであることは,容易に推察されるところであるほか,一連の経緯において,原告が身体に対する物理的な拘束を直接加えられた証跡は存しないところであって,慰謝料の算定に当たっては,これらの事情も考慮されるべきである。
<身体拘束についてこちらを参照>
(ウ) 以上のほか,本件に現れた一切の事情を総合考慮し,慰謝料の額については,400万円が相当であると認める。
ウ 弁護士費用 50万円
被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,50万円と認めるのが相当である。
(2) 被告宮村の賠償義務
また,前記のとおり,被告宮村については,その被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為への加担が平成10年1月頃から同年9月頃までの期間に係る部分に限られるものと認められるところ,その関与の態様等を考慮すれば,被告宮村は,前記(1)の損害額のうち,その2割に相当する96万7822円について,被告■<後藤徹氏の兄>らと連帯して原告に対する賠償義務を負うものと認めるのが相当である。
4 被告法人の使用者責任について
(1) 被告法人の使用者責任を認めない理由
原告は,被告法人が被告松永の使用者に当たるとして,被告松永の不法行為につき使用者責任を負う旨主張するが,本件において被告松永に不法行為責任が認められないことは,前記認定説示のとおりであるから,原告の上記主張は,その前提において失当である。
(2) 被告法人の使用者責任を認めない理由付言
なお,付言するに,証拠(乙ロ1,被告松永本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告法人は,その傘下にある個々の教会の運営について関知する立場にはなく,また,個々の教会において活動を行う牧師による活動について指示を与える立場にもなく,個々の教会において活動を行う牧師は,個々の教会の責任者として,被告法人とは独立した立場で自主的にその活動を行っており,また,被告法人は,牧師や伝道師に対する定期的な研修やその資格を停止し,又は剥奪する権限や人事権を有するも,それらの権限はキリスト教の信仰の枠組みを守る趣旨で付与され,その限度においてのみ行使することが許される性質のものであって,被告法人とその傘下にある個々の教会に務める牧師との間に使用関係を生じさせる性質のものではないことが認められるから,被告法人と新津教会の牧師である被告松永との間に使用関係があると認めることはできないものというべきであり,原告の上記主張は,この点からも理由がない。
5 よって,原告の被告■<後藤徹氏の兄>ら及び被告宮村に対する各請求は前記の限度で理由があるからこれらを認容し,被告■<後藤徹氏の兄>ら及び被告宮村に対するその余の各請求並びにその余の被告らに対する各請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
裁判長裁判官 相澤 哲
裁判官 小島 法夫
裁判官 浦川 剛
![s_0_vc2_img-01_vc2_img-01_0_vc2_img-01[1]](https://blog-imgs-66-origin.fc2.com/a/n/t/antihogosettoku/201402182300597ab.jpg)
今後は、高等裁判所での戦いになります。
これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
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ここでは、被告の不法行為の成否、また理由、損害賠償の内容が記載されています。
今回の判決で、被告の後藤兄夫婦、妹、宮村氏の一部不法行為が認定され、賠償金支払い命令が出たことは、原告の後藤徹氏にとっては意義あるものでした。
しかし、後藤氏の主張する被告側の不法行為が認められてない点も多いです。
原告側が今回認められなかった不法行為をどのように訴え、認定されるようにするか、被告側が今回認定された不法行為をどう覆すかが、今後の高等裁判所での争点となります。
尚、後藤徹氏は2月10日に控訴状を提出しました。
高等裁判所での裁判は短期決戦で、早ければ半年で判決が出るようです。
※所々、タイトルを入れました。
これは、実際の判決文には記載されていません。
※判決文について、米本氏、yoshi氏、秀氏、エイト氏がブログをアップしています。
そちらも合わせてお読みくだされば、よりわかりやすいと思います。
宮村の嘘は判事にはお見通しだぁ!
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後藤裁判の判決:最大の問題点 - しぶしぶの同意と偽装脱会の扱い
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“拉致・監禁”は認定されず、キャンペーン失敗の後藤事件地裁判決は統一教会サイドの実質敗訴か

主文
事実及び理由
第1 請求
第2 事案の概要
1 本件の概要
2 前提となる事案
3 争点及び当事者の主張
(1)被告被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否
ア 原告 イ 被告■<後藤徹氏の兄>ら ウ 被告松永 エ 被告法人 オ 被告宮村
(2)損害額
ア 原告 (ア)逸失利益 (イ)治療費 (ウ)慰謝料 (エ)弁護士費用
イ 被告ら
(3)被告法人の使用者責任
ア 原告 イ 被告法人
第3 当裁判所の判断
1 前記前提となる事実に証拠
(1)裁判所が認めた原告,被告から提出された証拠,陳述書の内容
①ア~コ(ア)(イ)(ウ)(エ)
②サ~ニ
(2)裁判所が採用しない主張
ア 原告の供述について イ 被告宮村と松永の供述について
2 被告■<後藤徹氏兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否について
3 損害賠償について
4 被告法人の使用者責任について
5 まとめ

2 被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否について
(1) 被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する不法行為の成否について
ア 後藤氏家族は被告宮村,松永の指示に従い,原告の逃走防止等措置を行った事実
前記認定事実及び弁論の全趣旨を総合すれば,原告がその不法行為該当性を主張する平成7年9月11日から平成20年2月10日までの一連の事実経緯は前記1(1)シからチまでに認定のとおりであり,その間の両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する対応は,概して,信者に対する脱会説得につきそれぞれ多くの経験を有していた被告松永及び被告宮村がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものであり,各滞在場所における逃走防止措置の実施,外出及び外部との連絡の制限等に重点が置かれたものであって,その全体を通じ,原告にとって,その意に反する強制的な要素を含むものであったことは明らかであるというべきである。
イ 被告の違法性が認めらない時期と理由
(ア) もっとも,平成7年9月11日の亡■<後藤徹氏の父>宅における状況は,前記認定のとおりであって,原告においては,渋々ではあったものの,亡■<後藤徹氏の父>らの求めに応じ,自らワゴン車に乗り込んでおり,当該状況の態様をもって,直ちに原告が主張するような原告に対する拉致行為があったものと認めることはできず,その際の被告■<後藤徹氏の兄>らの行為に違法性を認めることはできない。
(イ) また,亡■<後藤徹氏の父>宅からパレスマンション多門への移動及びパレスマンション多門における滞在,パレスマンション多門から荻窪プレイスへの移動及び荻窪プレイスにおける滞在並びに荻窪プレイスから荻窪フラワーホームへの移動に関しては,原告自身,既に前記1(1)サのとおり家族から脱会説得を受けた場合の対処方を心得ており,偽装脱会を行って時期をみて統一教会のホームに戻ることを企図しながら,話合いに応ずる姿勢を示していたことが窺われ,また,本件証拠上,その間を通じて,被告■<後藤徹氏の兄>らに対して各滞在場所から自身を退出させるよう求めたり,機会をねらって各滞在場所からの退出を試みたり,各移動に際して抵抗を試みたりしたことが窺われないことからしても,原告が自身の置かれた状況を一応容認していたことが窺われる(このことは,前記1(1)ナ(イ)の原告の供述内容からして,原告がパレスマンション多門及び荻窪プレイスに滞在している間,各監禁場所の出入口の施錠の状況に強い関心を寄せてなかったことが窺われること,同ソ(ア)の事実からして,原告がパレスマンション多門から亡■<後藤徹氏の父>宅への移動の機会を捉えて逃走等を行おうとする意図を全く有していなかったことが窺われること等からしても,明らかである。)ところであって,その間の被告らの行為については,直ちに違法性を認めることは困難であるというべきである。







<後藤家(世話人Xの想像)



ウ 被告の原告に対する不法行為が認められる時期と理由
(ア)これに対し,原告が平成9年12月に荻窪フラワーホームに移動した後間もなく偽装脱会の告白をして以降は,
①常に被告■<後藤徹氏の兄>らのいずれかが原告と共に荻窪フラワーホームに滞在して原告と行動を共にし,原告が一人で外出することや,外部との連絡をとることを許容されなかったことに加え,
②原告が退出の意向を示したにもかかわらず,被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて,玄関に向かおうとする原告を取り押さえるなどしていたこと,
③原告が,上記の状況に置かれていることについて,被告■<後藤徹氏の兄>らに対して明示的に抗議の意を表していたこと,
④原告の行動範囲に対する著しい制限が長期間に及び,原告の全身の筋力が低下するに至ったこと

が認められるところであって,これらの点からすれば,上記期間中の被告■<後藤徹氏の兄>らの行為については,原告の明示の意思に反してその行動の自由を大幅に制約し,外部との接触を断たせ,原告の心身を不当に拘束したものと評価せざるを得ず,原告に対する不法行為を構成するというべきである。
(イ) また,前記認定事実によれば,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告に対し,専ら原告が信者であることを問題視し,原告がその信仰を改めるよう,信者に対する脱会説得に係る豊富な経験を有する被告松永や被告宮村の助力を得ながら,一貫して原告の説得に当たっていたものと認められるから,被告■<後藤徹氏の兄>らの前記(ア)の行為については,原告に統一教会に対する信仰を棄てさせるとの目的の下に行われたものであることは明らかであり,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告に対し,棄教をしない限り,その置かれた状態から解放されないことをその態度をもって示していたものというべきであるから,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告に対し,前記(ア)の行為を通じて原告に対して棄教を強要したものであり,被告■<後藤徹氏の兄>らの当該行為は,原告に対する不法行為を構成するものと認めるのが相当である。
(ウ) 被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が荻窪フラワーホームに滞在していた間,原告のほかには被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>のみ在室していることがほとんどであり,原告と被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>との体格差からすれば,原告が容易に退出することのできる状態にあった旨等を主張するところ,確かに,前記認定事実からは,原告が被告■<後藤徹氏の妹>又は■<後藤徹氏の母>のみと在室していた時間は多く,特に前記1(1)タ(キ)の各機会を含め,実力行使で退出を試みるに適した機会も少なくなかったことが窺われ,また,原告と被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>との間に相応の体格差があったことは被告■<後藤徹氏の兄>ら主張のとおりであるが,原告が平成7年9月11日以降,各滞在場所間の移動の機会を除いてはほとんど外出をしておらず,長期間にわたりその行動範囲が著しく制限されていた結果,上記滞在期間中には相応の筋力の低下が生じていたことが窺われることに加え,被告■<後藤徹氏の妹>及び■<後藤徹氏の母>が自身の肉親であること等に照らせば,原告が,被告■<後藤徹氏の妹>又は■<後藤徹氏の母>に対して有形力を行使してまで荻窪フラワーホームからの退出を試みることをしなかったとしても,そのことから直ちに荻窪フラワーホームにおける滞在が原告の意に反するところではなかったものとみることはできず,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張は直ちに前記認定説示を左右するものではなく,採用することができない。
被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が統一教会の教義に従い,家族を救済する目的の下に上記各居室に居座り続けた旨をも主張するが,原告自身,これを明確に否定するところであり,本件全証拠によるも,荻窪フラワーホームに滞在中の原告の行動が上記のような目的の下に行われていたことを窺わせる事情は認められず,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張は採用することができない。


<エイト氏が自身のブログで、被告が出したこの本とこの箇所が証拠として採用されないのはおかしいと語っている。>
<エイト氏のブログはこちら 「証拠採用に偏りあり」を参照>
また,被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が,荻窪フラワーホームを退出してから約5か月後に,亡■<後藤徹氏の父>宅を突如訪問したことからすれば,原告が監禁され,棄教を強要されていたという事実はないことは明らかである旨をも主張するところ,原告が荻窪フラワーホームを退出した後に亡■<後藤徹氏の父>宅を訪問したことがあったことは被告■<後藤徹氏の兄>らの主張のとおりであるが,当該訪問は事前の予告なく行われたものであり,平成7年9月11日に原告が亡■<後藤徹氏の父>から招かれて亡■<後藤徹氏の父>宅を訪問した際の状況とは異なり,■<後藤徹氏の母>や被告■<後藤徹氏の妹>において脱会説得のための準備など行い得る状況ではなかったことは明らかであって,そのことは原告においても了知していたものとみられるから,当該訪問の事実は,直ちに前記説示を左右するものとみることはできない。
さらに,被告■<後藤徹氏の兄>らは,組織的に反社会的活動を行っている団体であることが極めて明白である統一教会により精神の自由を実質的に拘束され,精神的呪縛のもとにある原告に対し,自分自身で考え,信者として組織的な反社会的活動に関わり続けることの問題点に気付いてほしいという気持ちから,話合いに応じるように必死で原告に対する説得を試みたものであり,原告においても,不承不承ながらもこれに応じていたものである旨主張するが,前記認定事実によれば,原告は,遅くとも荻窪フラワーホームに移動し,偽装脱会の告白をした後においては,その場に留まり続けて家族らと共に生活を行い,話合いを続ける意思を有しておらず,しばしば退出の意向を明示していたことは明らかであって,当時において統一教会について問題のある団体である旨の報道等が広くされており,被告らがそのような統一教会の信者である原告を案じていたことが容易に推察されることを踏まえても,成人男性である原告を長期間にわたって1か所に留めおき,その行動の自由を大幅に制約し,外部との接触を断たせた上で説得を試みることについては,その説得の方法として社会通念上相当というべき限度を逸脱したものとみざるを得ない ところであって,被告■<後藤徹氏の兄>らの上記主張については採用することができない。
エ 原告が主張した「食事制裁」を採用しない理由
なお,原告は,被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて,原告が荻窪フラワーホームに滞在中にハンガーストライキを終えた後においても,原告に対して粗末な食事しか与えずに食事制裁を行い,原告を虐待した旨主張するが,前記1(1)タ(キ)のとおり,上記滞在中の原告の食事は■<後藤徹氏の母>及び被告■<後藤徹氏の妹>において用意されており,被告■<後藤徹氏の妹>は,かつて信者であった頃に断食を行った経験を生かして,原告の断食明けの食事について配慮し,原告の体調を気遣っていたこと等が認められるところであって,原告が3度目の断食を行った後に出された普通食が原告と同等の身長の一般男性に必要とされるカロリーを摂取するに十分なものではなかったことも,原告において再度断食を行う意向を表していたことを踏まえてのことであったことを考慮すれば,上記の原告の食事に係る事情については,直ちに違法な点を見いだすことはできず,原告の上記主張は採用しない。
<世話人Xの疑問:妹さんは、信者だった頃の断食の経験は最高何日だったのか?>






<解放前1年2か月の昼食、夕食写真>

<証拠採用された甲140号証 栄養士に対する照会書と回答 照会書と回答の一部>
(2) 被告松永の原告に対する不法行為の成否について
ア 被告松永の不法行為が認められない理由
被告松永が,平成7年当時,既に信者に対する脱会説得につき多くの経験を有しており,信者の家族らに対し,信者に対する脱会説得の方法を指導していたこと,本件における同年9月11日から平成20年2月10日までの間の両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する対応が,概して,信者に対する脱会説得につき多くの経験を有していた被告松永がその脱会説得のための実践的・実効的な方法としていたところに従ったものであったことは前記認定のとおりである。
しかしながら,本件における被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する行為のうち,原告に対する不法行為の成立を認め得るものは,平成9年12月に荻窪フラワーホームに移動した後の偽装脱会の告白後のものに限られることは前記認定説示のとおりであるところ,前記認定事実から明らかなとおり,被告松永は,原告がパレスマンション多門を退出した後は,原告が荻窪フラワーホームに移動した後に原告の元を一度訪問したことがあったものの,その脱会説得にはほとんど関与していなかったものと認められるから,被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する前記不法行為が被告松永の指導又は指揮命令の下に行われたものとみることはできず,被告松永については,被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する不法行為に係る共同不法行為責任は負わないものと認めるのが相当である。
イ 手記が強要行為にならない理由
なお,原告は,被告松永が平成8年頃原告に対して手記を書くことを強要した旨主張するが,前記認定のとおり,被告松永は,原告が脱会の意向を表明した後において,原告に対して手記を書くことを勧めたものであって,本件証拠上,そのことについて何ら強制的な要素は窺われないところであるから,被告松永の上記行為が原告に対する違法な強要行為に当たるものとみることはできず,原告の上記主張は採用することができない。

<甲98-3の6枚目>
(3) 被告宮村の原告に対する不法行為の成否について
ア 被告宮村が後藤兄らの不法行為に加担したと認められる時期と理由
前記認定事実によれば,被告宮村は,信者に対する脱会説得につき多くの経験を有し,その経験に基づき,水茎会などの場において,信者の家族らに対し,脱会説得の実践的・実効的な方法を指導していたところ,被告■<後藤徹氏の兄>らは,水茎会に通い,宮村の下でその方法を学び,原告を荻窪フラワーホームに移動させた後も,その方法に則って原告に対する脱会説得の試みを続け,被告宮村も,原告が荻窪フラワーホームにおいて不当に心身を拘束されていることを認識しつつ,平成10年1月頃から同年9月頃まで,頻繁に元信者らを連れて原告の元を訪れ,脱会を強要したことが認められるから,被告宮村については,被告■<後藤徹氏の兄>らの原告に対する前記不法行為のうち,上記期間に係る部分について,これに加担したものと認めるのが相当である。


イ 被告宮村の不法行為が認められない時期と理由
なお,前記認定のとおり,被告宮村は,平成10年9月頃までは荻窪フラワーホームに頻繁に足を運んでいたが,その後は,被告■<後藤徹氏の兄>から家族で話し合う旨を告げられ,原告の元を訪れることをやめており,その後の原告の荻窪フラワーホームにおける滞在に関し,被告宮村の指導又は指揮命令その他の何らかの関与があったことを示す確たる証拠も存しないから,被告宮村による被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為への加担は,平成10年1月頃から同年9月頃までの斯間に係る部分に限られ,その後の原告の荻窪フラワーホームにおける滞在に関しては,被告宮村において不法行為責任を負うところはないものというべきである。
この点について,原告は,被告宮村において原告が断食をした事実を認識していたことからして,平成10年9月頃以降も被告宮村が原告に対する監禁及び棄教の強要を指導していた旨主張するが,前記認定のとおり,被告宮村がその経営するタップの従業員である被告■<後藤徹氏の兄>から断食に係るものも含めた原告の様子について話を聞くことがあったことは認められるものの,そのことから直ちに上記の指導に係る事実があったものとまで推認することはできず,原告の上記主張は前記説示を左右しない。
3 損害額について
(1)原告が被った損害額
被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為により原告が被った損害額については,以下のとおり,後記アからウまでの合計483万9110円であると認めるのが相当である。
なお,原告は,逸失利益についても被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為と相当因果関係のある損害に当たる旨主張するが,前記のとおり,原告は,昭和62年に統一教会のホームに戻った後に自らの意思に基づき大成建設を退職し,統一教会の信徒組織において専ら伝道活動や教育活動に従事する生活を送り,平成7年当時においてもそのような生活を続けていたことに加え,同年9月11日から平成20年2月10日までの間の原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していたことが窺われることなどからすれば,逸失利益に係る原告主張の事情は,後記の慰謝料算定に当たって勘案するにとどめるのが相当であると認める。
ア 治療費 33万9110円
前記のとおり,原告は,その行動範囲に対する著しい制限が長期間に及び,原告の全身の筋力が低下するに至り,その治療のため,平成20年2月11日から同年3月31日まで,一心病院に入院したことが認められ,また,証拠(甲8の1から10まで)<※参照>によれば,その入院治療費用及びこれに関連する一心病院,東京都立大塚病院及び北里大学病院における各通院治療費用等として,合計33万9110円の支出をしたことが認められるから,その全額について,被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為との相当因果関係を認めるのが相当である。

※甲8の1~10
甲8の1~2: 入院診療費領収証 一心病院 原告の損害(治療費)H20/3/8, 3/31
甲8の3~6: 外来診療費領収証 一心病院 同上 H20/4/2, 4/3
甲8の7~9:領収証書 東京都立大塚病院 同上 H20/3/11, 3/12,3/13
甲8の10: 外来診療費領収書 北里大学病院 同上 H20/4/4
イ 慰謝料 400万円
(ア) 前記のとおり,原告は,被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為により,10年以上もの長期間にわたり,その明示の意思に反してその行動の自由が大幅に制約され,外部との接触が許されない環境下に置かれ,その心身を不当に拘束され,棄教を強要されたものであり,そのことにより原告が被った精神的苦痛は極めて大きいものと認められる。
(イ) もっとも,前記のとおり,被告■<後藤徹氏の兄>らが前記不法行為に及んだのが原告を案ずる家族としての愛情からであることは,容易に推察されるところであるほか,一連の経緯において,原告が身体に対する物理的な拘束を直接加えられた証跡は存しないところであって,慰謝料の算定に当たっては,これらの事情も考慮されるべきである。
<身体拘束についてこちらを参照>
(ウ) 以上のほか,本件に現れた一切の事情を総合考慮し,慰謝料の額については,400万円が相当であると認める。
ウ 弁護士費用 50万円
被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,50万円と認めるのが相当である。
(2) 被告宮村の賠償義務
また,前記のとおり,被告宮村については,その被告■<後藤徹氏の兄>らの前記不法行為への加担が平成10年1月頃から同年9月頃までの期間に係る部分に限られるものと認められるところ,その関与の態様等を考慮すれば,被告宮村は,前記(1)の損害額のうち,その2割に相当する96万7822円について,被告■<後藤徹氏の兄>らと連帯して原告に対する賠償義務を負うものと認めるのが相当である。
4 被告法人の使用者責任について
(1) 被告法人の使用者責任を認めない理由
原告は,被告法人が被告松永の使用者に当たるとして,被告松永の不法行為につき使用者責任を負う旨主張するが,本件において被告松永に不法行為責任が認められないことは,前記認定説示のとおりであるから,原告の上記主張は,その前提において失当である。
(2) 被告法人の使用者責任を認めない理由付言
なお,付言するに,証拠(乙ロ1,被告松永本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告法人は,その傘下にある個々の教会の運営について関知する立場にはなく,また,個々の教会において活動を行う牧師による活動について指示を与える立場にもなく,個々の教会において活動を行う牧師は,個々の教会の責任者として,被告法人とは独立した立場で自主的にその活動を行っており,また,被告法人は,牧師や伝道師に対する定期的な研修やその資格を停止し,又は剥奪する権限や人事権を有するも,それらの権限はキリスト教の信仰の枠組みを守る趣旨で付与され,その限度においてのみ行使することが許される性質のものであって,被告法人とその傘下にある個々の教会に務める牧師との間に使用関係を生じさせる性質のものではないことが認められるから,被告法人と新津教会の牧師である被告松永との間に使用関係があると認めることはできないものというべきであり,原告の上記主張は,この点からも理由がない。
5 よって,原告の被告■<後藤徹氏の兄>ら及び被告宮村に対する各請求は前記の限度で理由があるからこれらを認容し,被告■<後藤徹氏の兄>ら及び被告宮村に対するその余の各請求並びにその余の被告らに対する各請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
裁判長裁判官 相澤 哲
裁判官 小島 法夫
裁判官 浦川 剛
![s_0_vc2_img-01_vc2_img-01_0_vc2_img-01[1]](https://blog-imgs-66-origin.fc2.com/a/n/t/antihogosettoku/201402182300597ab.jpg)
今後は、高等裁判所での戦いになります。
これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
↓↓↓↓↓↓

2014-02-21(Fri)
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有難う御座いました。
そうそうお目にかかれることでは在りません。
それぞれのご都合で眺めた感想も良いです。
統一教会、世界基督教統一神霊協会が、公益性溢れる教団であったらこの様な事が起こることも無かったでしょう。
そうそうお目にかかれることでは在りません。
それぞれのご都合で眺めた感想も良いです。
統一教会、世界基督教統一神霊協会が、公益性溢れる教団であったらこの様な事が起こることも無かったでしょう。
裏切り
1番人を傷つける、1番醜い行為、それは裏切りだと思う。
拉致監禁は裏切りそのもの。
信頼している家族からの。
普通 裏切った人は自分の裏切り行為を自覚しているけれど、
拉致監禁の場合、自覚していない。
どれほど傷付けているか考えもしない。ものとして扱うから、移動の時だって知らせたりしない。
家族仲が悪くなって当然です。
拉致監禁は裏切りそのもの。
信頼している家族からの。
普通 裏切った人は自分の裏切り行為を自覚しているけれど、
拉致監禁の場合、自覚していない。
どれほど傷付けているか考えもしない。ものとして扱うから、移動の時だって知らせたりしない。
家族仲が悪くなって当然です。
分かっていない
いくつか納得できない点があります。
その①
<原告がパレスマンション多門及び荻窪プレイスに滞在している間,各監禁場所の出入口の施錠の状況に強い関心を寄せてなかったことが窺われる><パレスマンション多門から亡■(後藤徹氏の父)宅への移動の機会を捉えて逃走等を行おうとする意図を全く有していなかった>
出入口に近づけば、監禁が強化される。逃走を疑われる行動を取ると、監禁が長引く―。
このことを肌身にしみて知っていた原告は、それでも脱出・逃走行動を起こすべきだった、というのか!
その②
<被告■(後藤徹氏の妹)は,かつて信者であった頃に断食を行った経験を生かして,原告の断食明けの食事について配慮し,原告の体調を気遣っていたこと等が認められる>
原告本人は好きで断食したわけではない!。あくまでも抗議のハンガーストライキだ。
原告に食品を選ぶ自由、食事量を決める自由すら与えていないのに「体調を気遣っていた」はないだろっ。
その③
<原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していた>
一般的に、人をさらって監禁する人間は、その人間を死なさないように食事を与える。
これを「生活費を負担していた」とは言うか?!?!。そうは言わないだろっ。
追伸。
偽装脱会してスキをみつけて逃げる―。拉致監禁されたら、これしか出てくる方法がない。
このことを裁判所は理解できないようだ。
イヤだ、イヤだと手足をばたつかせ、ドアや窓に突進し続け、その痕跡を体に残しておかないと、裁判所は容易に監禁を認めてくれない。大変だ。
裁判所の言うように、逃走行動の痕跡を残こそうとすると、いつしか力尽き、半死の状態になって、廃人に…。
裁判所は監禁された人間の立場が分かっていない。
その①
<原告がパレスマンション多門及び荻窪プレイスに滞在している間,各監禁場所の出入口の施錠の状況に強い関心を寄せてなかったことが窺われる><パレスマンション多門から亡■(後藤徹氏の父)宅への移動の機会を捉えて逃走等を行おうとする意図を全く有していなかった>
出入口に近づけば、監禁が強化される。逃走を疑われる行動を取ると、監禁が長引く―。
このことを肌身にしみて知っていた原告は、それでも脱出・逃走行動を起こすべきだった、というのか!
その②
<被告■(後藤徹氏の妹)は,かつて信者であった頃に断食を行った経験を生かして,原告の断食明けの食事について配慮し,原告の体調を気遣っていたこと等が認められる>
原告本人は好きで断食したわけではない!。あくまでも抗議のハンガーストライキだ。
原告に食品を選ぶ自由、食事量を決める自由すら与えていないのに「体調を気遣っていた」はないだろっ。
その③
<原告の生活費の一切は両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らにおいて負担していた>
一般的に、人をさらって監禁する人間は、その人間を死なさないように食事を与える。
これを「生活費を負担していた」とは言うか?!?!。そうは言わないだろっ。
追伸。
偽装脱会してスキをみつけて逃げる―。拉致監禁されたら、これしか出てくる方法がない。
このことを裁判所は理解できないようだ。
イヤだ、イヤだと手足をばたつかせ、ドアや窓に突進し続け、その痕跡を体に残しておかないと、裁判所は容易に監禁を認めてくれない。大変だ。
裁判所の言うように、逃走行動の痕跡を残こそうとすると、いつしか力尽き、半死の状態になって、廃人に…。
裁判所は監禁された人間の立場が分かっていない。
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