後藤徹氏裁判判決文①ー被告宮村峻は、原告に対し、96万7822円支払え。
後藤徹氏裁判の判決文をこれから5回に分けてアップしていきます。
判決文は全部で66頁に及びますので、それぞれ長文になります。
じっくりゆっくり休み休み読んでくださればと思います。
聞きなれない法律用語や言い回しがありますので、法律に詳しい方がいらっしゃいましたら、コメントで解説してもらえるとうれしいです。
※判決文の構成 <今回アップは青字(第2の3の(1)ア 原告まで)>
主文
事実及び理由第1 請求
第2 事案の概要1 本件の概要
2 前提となる事案
3 争点及び当事者の主張
(1)被告被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否ア 原告
イ 被告■<後藤徹氏の兄>ら ウ 被告松永 エ 被告法人 オ 被告宮村(2)損害額
ア 原告 (ア)逸失利益 (イ)治療費 (ウ)慰謝料 (エ)弁護士費用
イ 被告ら(3)被告法人の使用者責任
ア 原告 イ 被告法人
第3 当裁判所の判断
1 前記前提となる事実に証拠
(1)裁判所が認めた原告、被告から提出された証拠、陳述書の内容
(2)ア 原告の供述について イ 被告宮村と松永の供述について
2 被告■<後藤徹氏兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否について
3 損害賠償について
4 被告法人の使用者責任について
5 まとめ
※ブログアップ上、下記を致しました。
・改行・行あけ・赤字・太字・写真掲載
※詳細な住所は削除致しました。
![IMG_2858[1]](https://blog-imgs-47-origin.fc2.com/a/n/t/antihogosettoku/2014020100474503as.jpg)
平成23年(ワ)第2796号損害賠償請求事件
口頭弁論終結の日 平成25年9月24日
判 決
原告
後藤徹こと 岩 本 徹
同訴訟代理人弁護士
福 本 修 也
被告
後藤■<後藤徹氏の兄>
後藤■<後藤徹氏の兄嫁>
■<後藤徹氏の妹>
上記3名訴訟代理人弁護士
山 口 貴 士
荻 上 守 生
被告
松 永 堡 智
同訴訟代理人弁護士
中 村 周 而
東 麗 子
被告
ゼ・エバンゼリカル・アライアンス・ミッション(日本同盟基督教団)
同代表者代表役員
安 藤 能 成
同訴訟代理人弁護士
青 木 榮 一
被告
宮 村 峻
同訴訟代理人弁護士
山 口 広
木 村 壮
主 文
<1> 被告後藤■<後藤徹氏の兄>,被告後藤■<後藤徹氏の兄嫁>及び被告■<後藤徹氏の妹>は,原告に対し,連帯して483万9110円及びこれに対する平成20年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を(ただし,うち96万7822円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員については被告宮村峻と連帯して)支払え。
<2> 被告宮村峻は,原告に対し,被告後藤■<後藤徹氏の兄>,被告後藤■<後藤徹氏の兄嫁>及び被告■<後藤徹氏の妹>と連帯して96万7822円及びこれに対する平成20年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
<3> 原告の被告後藤■<後藤徹氏の兄>,被告後藤■<後藤徹氏の兄嫁>,被告■<後藤徹氏の妹>及び被告宮村峻に対するその余の各請求並びに被告松永堡智及び被告ゼ・エバンゼリカル・アライアンス・ミッション(日本同盟基督教団)に対する各請求をいずれも棄却する。
<4> 訴訟費用中,原告と被告後藤■<後藤徹氏の兄>,被告後藤■<後藤徹氏の兄嫁>及び被告■<後藤徹氏の妹>との間に生じた部分はこれを40分し,その1を被告後藤■<後藤徹氏の兄>,被告後藤■<後藤徹氏の兄嫁>及び被告■<後藤徹氏の妹>の,その余を原告の各負担とし,原告と被告宮村峻との間に生じた部分はこれを200分し,その1を被告宮村峻の,その余を原告の各負担とし,原告と被告松永堡智及び被告ゼ・エバンゼリカル・アライアンス・ミッション(日本同盟基督教団)との間に生じた部分は原告の負担とする。
<5> この判決の第1項及び第2項は,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
<1> 被告らは,原告に対し,各自2億0161万8527円及びこれに対する平成20年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
<2> 仮執行宣言
第2 事案の概要
<1> 本件は,世界基督教統一神霊協会(通称「統一教会」。以下「統一教会」という。)の信者(以下,単に「信者」ともいう。)である原告が,被告後藤■<後藤徹氏の兄>(原告の兄。以下「被告■<後藤徹氏の兄>」という。),被告後藤■<後藤徹氏の兄嫁>(被告■<後藤徹氏の兄>の妻。以下「被告■<後藤徹氏の兄嫁>)という。),被告■<後藤徹氏の妹>(原告の妹。以下「被告■<後藤徹氏の妹>」という。)及び被告宮村峻(以下「被告宮村」)という。)並びに被告ゼ・エバンゼリカル・アライアンス・ミッション(日本同盟基督教団)(以下「被告法人」という。)傘下の新津福音キリスト教会(以下「新津教会」という。)において牧師を務める被告松永堡智(以下「被告松永」という。)の共謀の下に拉致され,監禁され,棄教を強要され,更に全身筋力低下,廃用性筋萎縮等の傷害を負わされたなどとして,不法行為による損害賠償請求権(民法709情,715条1項)に基づき,被告らに対し,損害金合計2億0161万8527円及びこれに対する不法行為の日以後の平成20年2月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
<2> 前提となる事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。
(1)ア:原告は,亡後藤■<後藤徹氏の父>(平成9年6月22日死亡。以下「亡■<後藤徹氏の父>」という。)及び後藤■<後藤徹氏の母>(以下「■<後藤徹氏の母>」といい,亡■<後藤徹氏の父>と併せて単に「両親」ともいう。)の二男である。
原告は,昭和61年8月頃,被告■<後藤徹氏の兄>からの勧誘を受けて統一教会の教えを学ぶようになり,その後,統一教会に入会し,その信者となった。原告は,大学卒業後の昭和62年4月,大成建設株式会社(以下「大成建設」という。)に入社した。また,原告は,平成7年8月25日,同じく信者であるSK(以下「S」という。)と共に,韓国ソウルにおいて,統一教会の主催する国際合同結婚式(以下,単に「合同結婚式」という。)に参加した。(甲9)
イ(ア):被告■<後藤徹氏の兄>は,亡■<後藤徹氏の父>及び■<後藤徹氏の母>の長男である。
被告■<後藤徹氏の兄>は,昭和61年3月頃,街頭でアンケートを受けたことを契機として統一教会の教えを学ぶようになり,同年12月,統一教会に入会し,その信者となったが,昭和62年5月頃,両親,キリスト教の信徒である尾島淳義(以下「尾島」という。),被告宮村等の説得により,統一教会から脱会した。なお,被告■<後藤徹氏の兄>は,昭和63年2月頃から平成13年1月頃ないし同年2月頃まで及び平成16年8月頃から平成21年11月頃まで,被告宮村の経営に係る株式会社タップ(以下「タップ」という。)において勤務していた。(乙イ10,乙八2)
(イ)被告■<後藤徹氏の兄嫁>は,昭和61年6月頃,知人からの勧誘を受けて統一教会の教えを学ぶようになり,その後,統一教会に入会し,その信者となったが,平成3年2月頃,被告松永等の説得により,統一教会から脱会した。被告■<後藤徹氏の兄嫁>は,その後,被告■<後藤徹氏の兄>と知り合い,平成7年1月16日,被告■<後藤徹氏の兄>と婚姻した。(乙イ5)
(ウ)被告■<後藤徹氏の妹>は,原告の妹であり,亡■<後藤徹氏の父>及び■<後藤徹氏の母>の長女である。
被告■<後藤徹氏の妹>は,昭和61年秋頃,被告■<後藤徹氏の兄>からの勧誘を受けて統一教会の教えを学ぶようになり,その後,統一教会に入会し,その信者となったが,平成元年4月,両親,被告■<後藤徹氏の兄>,被告宮村等からの説得により,統一教会から脱会した。(乙イ7)
ウ:被告法人は,昭和29年に宗教法人法の規定により宗教法人となった宗教団体である。
被告松永は,昭和46年頃から現在に至るまで,被告法人傘下の教会である新津教会において牧師を務める者である(乙ロ1)。

エ:被告宮村は,タップの代表取締役である(乙ハ2)。
(2)ア:原告は,平成7年9月当時,東京都北区所在の統一教会の「ホーム」と呼ばれる施設に生活の本拠を置き,統一教会の信徒組織において専ら伝道活動や教育活動に従事する生活をしていたところ,同月11日,亡■<後藤徹氏の父>からの求めを受け,東京都保谷市(現・西東京市)所在の亡■<後藤徹氏の父>の居宅(以下「亡■<後藤徹氏の父>宅」という。)を訪問した。
原告は,同月11日夜,亡■<後藤徹氏の父>宅においてその家族と共に夕食をとった後,被告■<後藤徹氏の兄>,被告■<後藤徹氏の兄嫁>及び被告■<後藤徹氏の妹>(以下,この被告3名を併せて「被告■<後藤徹氏の兄>ら」という。),両親並びにその他の者等と共に,ワゴン車に同乗して亡■<後藤徹氏の父>宅から新潟市へ向かい,同月12日早朝,被告■<後藤徹氏の兄嫁>の祖父が所有していた新潟県新潟市のマンション「パレスマンション多門」803号室(以下,当該室を単に「パレスマンション多門」という。)に到着した。
原告は,同月12日頃から平成9年6月22日頃までの間,パレスマンション多門に滞在していた。

<パレスマンション多門>
イ:亡■<後藤徹氏の父>は,膵臓がんに罹患し,平成9年3月から入院生活を送っていたところ,原告は,同年6月22日,亡■<後藤徹氏の父>を見舞っていた被告■<後藤徹氏の兄>から亡■<後藤徹氏の父>が危篤の状態にある旨の連絡を受けた被告■<後藤徹氏の兄嫁>らと共に,ワゴン車で東京の亡■<後藤徹氏の父>宅へと移動した。
ウ:亡■<後藤徹氏の父>は,平成9年6月22日,死亡した。
原告は,同日,亡■<後藤徹氏の父>宅において,亡■<後藤徹氏の父>の遺体と対面した後,被告■<後藤徹氏の兄嫁>らと共に,東京都杉並区荻窪所在のマンション「荻窪プレイス」の605号室(以下,当該室を単に「荻窪プレイス」という。)へと移動した。
なお,原告並びに被告■<後藤徹氏の兄嫁>及び被告■<後藤徹氏の妹>は,その後催された亡■<後藤徹氏の父>の葬儀には参列しなかった。
原告は,同日から同年12月末頃までの間,荻窪プレイスに滞在した。

<荻窪プレイス>
エ:原告は,平成9年12月,被告■<後藤徹氏の兄>らと共に,東京都杉並区荻窪所在のマンション「荻窪フラワーホーム」の804号室(以下,当該室を単に「荻窪フラワーホーム」という。)へと移動した。
原告は,同月から平成20年2月10日までの間,荻窪フラワーホームに滞在した。

<荻窪フラワーホーム>
オ:被告■<後藤徹氏の兄>ら及び■<後藤徹氏の母>は,平成20年2月10日午後4時頃,原告に対し,荻窪フラワーホームから退出するよう求め,原告を玄関まで連れて行き,力ずくで荻窪フラワーホームの外に押し出した。その後,原告は,徒歩で東京都渋谷区松濤に所在する統一教会の本部教会へと向かい,同日夜,上記本部教会に到着した。
(3)ア:原告は,平成20年2月11日早朝,東京都豊島区北大塚所在の一心病院において診察を受け,「全身筋力低下,廃用性筋萎縮(特に両下肢),栄養失調」との診断を受け,同日から同年3月31日まで,一心病院において入院治療を受けた(甲2)。
イ:一心病院に勤務するKH医師(以下「K医師」という。)は,原告の入院期間中,原告を診察し,その血液検査の結果や問診の結果等から判断して原告がその家族から生命に危険の及ぶレベルの虐待を受けていた可能性があるとして,その旨を巣鴨警察署に届け出た(甲4)
![300px-Sugamo_Police_Station[1]](https://blog-imgs-47-origin.fc2.com/a/n/t/antihogosettoku/201401312231271b8s.jpg)
<巣鴨警察署>
(4)ア:原告は,平成20年,警視庁荻窪警察署の司法警察員に対し,■<後藤徹氏の母>,被告■<後藤徹氏の兄>ら,被告松永及び被告宮村を,それぞれ逮捕監禁致傷罪及び強要未遂罪により告訴した。
![300px-Ogikubo_police_station_suginami[1]](https://blog-imgs-47-origin.fc2.com/a/n/t/antihogosettoku/20140131223407435s.jpg)
<荻窪警察署>
イ:東京地方検察庁検察官検事伊藤俊行は,平成21年12月9日,荻窪警察署から送致を受けた前記アの告訴に係る各事件につき,いずれも嫌疑不十分であるとして,公訴を提起しない処分をした。
![d85d0b7f-s[1]](https://blog-imgs-47-origin.fc2.com/a/n/t/antihogosettoku/20140131224133d80s.jpg)
<伊藤俊行検事>
ウ:原告は,前記イの各処分を不服として,検察審査会に対し,当該処分の当否についての審査の申立てをした(平成22年東京第四検察審査会審査事件(申立)第15号)。
東京第四検察審査会は,平成22年10月6日,前記イの各処分について,いずれも相当である旨の議決をした(乙イ1)。
<3> 争点及び当事者の主張
(1)被告被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の原告に対する不法行為の成否
ア:原告
(ア)被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村は,共謀の上,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,以下のとおり,原告を拉致して平成7年9月11日から平成20年2月10日までの12年5か月の間にわたって監禁し,原告に対し,繰り返し統一教会の信仰を棄教するよう強要し,更には上記監禁及び食事制裁により全身筋力低下,廃用性筋萎縮,栄養失調及び貧血の傷害を与えた。

a:亡■<後藤徹氏の父>宅における拉致
被告■<後藤徹氏の兄>らは,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,平成7年9月11日,亡■<後藤徹氏の父>宅において,亡■<後藤徹氏の父>と被告■<後藤徹氏の兄>において原告の両脇を抱え込み,また,両親,被告■<後藤徹氏の兄>ら,被告■<後藤徹氏の兄嫁>の兄,原告の伯父であるOY(以下「O」という。)及び被告宮村からの指示を受けて亡■<後藤徹氏の父>宅の庭において待機していた統一教会の元信者(以下,統一教会の元信者を単に「元信者」という。)であるタップの男性従業員において原告の四方八方を取り囲んでその行動の自由を奪い,抵抗する原告を亡■<後藤徹氏の父>宅から引きずり出し,事前に準備をしていたワゴン車に乗せ,もって原告を拉致した。
b:パレスマンション多門への連行並びにパレスマンション多門における監禁及び棄教の強要
(a)被告■<後藤徹氏の兄>らは,平成7年9月11日,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,その両脇を挟む形で原告を前記ワゴン車の後部座席中央に座らせ,原告がトイレに行きたい旨を述べても前記ワゴン車を停めることなく,車外のトイレ施設から逃走を防ぐために原告に予め準備していた簡易トイレを使用させるなどして,原告の行動の自由を奪ったまま,ノンストップで,原告をパレスマンション多門へと連行した。
(b)i:被告■<後藤徹氏の兄>らは,平成7年9月12日早朝から平成9年6月22日頃までの間,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,原告をパレスマンション多門において監禁した。
パレスマンション多門は,玄関の扉が内側からも鍵を使って施錠をすることのできる構造のものとなっており,原告が入室した後に原告の逃走を防ぐために施錠され,その窓も全て防犯錠で開かないようになっていた。

また,両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らは,上記期間中,原告を常時監視し,原告がパレスマンション多門から自由に退出することを許さなかった。
パレスマンション多門の玄関の扉に内側から施錠がされていたことは,前記のとおり原告に対する拉致・監禁を指導・指揮した被告松永から信者の脱会説得についての指導を受けた当該信者の家族らにおいて,被告松永の指導及び指揮命令の下に監禁目的で監禁場所の玄関ドアを内側から施錠していた旨を認めている(甲26,41等)ことからも明らかである。
なお,原告は,被告■<後藤徹氏の兄>らからの監禁から解放されるべく,平成7年12月末,被告■<後藤徹氏の兄>らに対し,その真意に反して統一教会を脱会する旨の意向を表明し,その後,統一教会宛ての脱会届を書いたが,両親及び被告■<後藤徹氏の兄>らは,その後も原告に対する監禁を続けた。
ⅱ:被告■<後藤徹氏の兄>らは,前記監禁中,原告に対し,統一教会の教えに対する信仰を完全に棄てるまでは監禁状態から解放されることがない旨を明示又は黙示に示すことにより,棄教を強要した。特に被告■<後藤徹氏の兄>にあっては,原告に対し,「言っておくが,この問題は絶対に許さんからな。この問題を解決するまでは絶対に妥協しないし,この環境もこのままだ。我々はどんな犠牲を払っても決着をつける。お前もそれは覚悟しておけ。」などと申し向けて,原告に対する棄教の強要を行った。
ⅲ:被告松永は,前記監禁中,合計20回ないし30回にわたってパレスマンション多門に訪れ,原告に対し,原告が信仰する統一教会の教理や教祖に対する批判を繰り返した。
また,被告松永は,自らが脱会させた元信者ら約20人をパレスマンション多門に繰り返し訪問させ,統一教会を脱会した理由や統一教会に対する批判を原告に対して話させ,もって原告に対する棄教の強要を行った。
また,被告松永は,平成8年頃,前記iのとおりその真意に反して脱会の意向を表明した原告に対し,入信から脱会までの間の出来事を記した手記を書くよう強要した。
c:荻窪プレイスへの連行及び荻窪プレイスにおける監禁
(a)原告は,平成9年6月22日,亡■<後藤徹氏の父>の遺体との対面をするためにワゴン車に乗って亡■<後藤徹氏の父>宅へと移動した。
被告■<後藤徹氏の兄>らは,その道中においても,被告■<後藤徹氏の兄嫁>,被告■<後藤徹氏の妹>,被告■<後藤徹氏の兄嫁>の2人の兄,元信者であるTT(以下「T」という。)その他元信者の男性1名及び女性1名で原告を取り囲み,原告の両脇を挟んで原告をワゴン車の後部座席中央に座らせることにより,原告に対する監禁を継続した。
また,被告■<後藤徹氏の兄>らは,同日,原告が亡■<後藤徹氏の父>の遺体と対面した後,再度原告をワゴン車に乗せ,その場で突如原告に対してパレスマンション多門には戻らない旨を告げ,そのまま原告を荻窪プレイスへと連行した。
(b)被告■<後藤徹氏の兄>らは,平成9年6月22日から同年12月までの間,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,荻窪プレイスにおいて,原告を監禁した。
荻窪プレイスは,玄関の扉が原告の逃走を防ぐために内側からダイアルロック式の特殊な鍵が付けられて開かないようにされており,その窓も開かないようにされていた。また,被告■<後藤徹氏の兄>らは,上記期間中,原告を常時監視し,原告が荻窪プレイスから自由に退出することを許さず,その逃走を防ぐために,原告の亡■<後藤徹氏の父>の葬儀への列席すら許さなかった。
d:荻窪フラワーホームへの連行及び荻窪フラワーホームにおける監禁
(a)被告■<後藤徹氏の兄>らは,平成9年12月,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,原告を■<後藤徹氏の母>,被告■<後藤徹氏の兄>ら及び氏名不詳の男性3名で取り囲んでワゴン車に乗せ,荻窪フラワーホームに連行した。
(b)i:被告■<後藤徹氏の兄>らは,平成9年12月から平成20年2月10日までの間,被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下,原告を荻窪フラワーホームにおいて監禁した。
荻窪フラワーホームは,玄関の扉が原告の逃走を防ぐために鎖と南京錠で内側から開かないようにされており,また,その窓は鍵付きのクレセント錠が取り付けられ,開かないようにされていた。また,被告■<後藤徹氏の兄>らは,上記期間中,原告を常時監視し,原告が何度脱出を試みてもその都度取り押さえ,原告が荻窪フラワーホ―ムから自由に退出することを許さなかった。


原告は,平成16年4月,平成17年4月及び平成18年4月に,それぞれ,被告■<後藤徹氏の兄>らによる長期の監禁及び棄教の強要に抗議すべく,ハンガーストライキを実施したが,被告■<後藤徹氏の兄>らがその監禁を解くことはなかった。
ⅱ:被告■<後藤徹氏の兄>らは,原告が荻窪フラワーホームに連行されて間もなく 偽装脱会をしていることを告白するや,その直後から少なくとも平成13年2月頃までの間,原告に対し,再度棄教を強要した。
ⅲ:被告宮村は,平成10年1月初旬から同年9月頃にかけて,毎日のように前記aのタップの男性従業員を含む元信者らを数名ずつ引き連れて荻窪フラワーホームを訪れ,原告に対し,非難,中傷及び罵倒を繰り返して,棄教を強要した。また,被告宮村は,同月頃以降にも,元信者を荻窪フラワーホームに派遣することによって,原告に対し,棄教を強要した。
被告宮村は,原告に統一教会の教祖のスキャンダル話を聞かせ,原告から,統一教会に帰って自分でその真偽を調べるとして荻窪フラワーホームからの退出を求められても,「だめだ。それに統一教会はいつもウソをつく。どうせ帰ったって本当のことは分からんよ。」と述べてこれを一蹴し,原告の監禁を解かなかった。
ⅳ:また,被告松永は,平成10年2月又は3月頃,被告宮村と共に荻窪フラワーホームを訪れ,原告から偽装脱会をしていた旨を告げられるや,「一度,あなたの頭の中を割って,どのような構造になっているのか見てみたいものだ。」と述べて,原告を愚弄した。
(c)さらに,被告■<後藤徹氏の兄>らは,前記期間中,原告がハンガーストライキを終えた後においても,原告に対し,粗末な食事しか与えない食事制裁を行い,原告を虐待した。


<2006年12月~解放時までの昼食、夕食>
原告が被告■<後藤徹氏の兄>らから食事制裁を受けていたことは,平成20年2月10日に解放された直後の原告が,平均体重から20キログラム以上も低い体重でBMI値が15にも満たず,栄養失調の状態にあったことからも明らかである。

(イ)被告■<後藤徹氏の兄>らが原告に対する拉致・監禁及び棄教の強要を行ったことは,原告が被告■<後藤徹氏の兄>らに対して亡■<後藤徹氏の父>宅以外の場所における話合いを承諾した事実がないこと,亡■<後藤徹氏の父>宅への移動を除く移動の際に原告には事前に行き先すらも告げられていなかったこと,原告が監禁下にあった12年5か月の間,統一教会との連絡はもとより共に合同結婚式に参加したSKやその他の者との連絡の一切を絶たれていたこと,原告が前記各監禁場所において一時も一人にされることがなかったこと,原告が早期にその身柄の解放を免れるべくその真意に反して統一教会宛ての脱会届や手記を書かざるを得なかったこと,原告が前記(ア)の監禁及び棄教の強要を受ける前の昭和62年10月頃にも東京都新宿区の京王プラザホテルにおいて亡■<後藤徹氏の父>,被告■<後藤徹氏の兄>及び被告宮村によって監禁され,棄教を強要されたことがあること,被告■<後藤徹氏の兄>らを始めとする多くの元信者や信者が,被告松永や被告宮村の指導及び指揮命令の下,同様の方法で,その家族らによって監禁され,棄教を強要されていることからも明らかである。

<新宿区京王プラザホテル>
(ウ)また,被告■<後藤徹氏の兄>ら並びに被告松永及び被告宮村の間に共謀があり,被告■<後藤徹氏の兄>らによる原告に対する前記(ア)の拉致・監禁及び棄教の強要が被告松永及び被告宮村の指導及び指揮命令の下に行われたことは,次の各事実からも明らかである。
a:被告松永及び被告宮村は,被告松永にあっては自らが牧師を務める新津教会において,被告宮村にあっては自らが組織する水茎会という信者の家族らの団体の集会等において,それぞれ,相談に来た信者の家族らに対し,講義等の方法により拉致・監禁及び棄教の強要の方法について指導を行っており,また,両名とも,実際に統一教会信者に対する拉致・監禁及び棄教の強要の実行に際し,その家族らに対し,鎖及び南京錠による玄関の扉の施錠や全ての窓についての施錠などの拉致・監禁の具体的方法を指示し,また,拉致・監禁した信者の身柄の解放に関する判断を自らに任せるよう指示するなどして,その家族らを指揮命令している。
なお,被告松永が上記の指導及び指揮命令を行っていることは,被告松永からそのような指導を受けた旨供述する(甲26,41等)者らがいることや,被告松永から指導を受けた信者の家族らの作成に係る講義ノート(甲44)及びメモ(甲48),昭和62年9月3日に開催された原理運動(統一教会)対策キリスト者全国協議会(以下「原対協」という。)の発足準備会において上映されたビデオの内容を被告松永において記したメモ(甲98の1),同年10月16日に開催された原対協の発足会において発表された拉致・監禁及び脱会強要活動のマニュアルを被告松永において書き取ったメモ(甲98の3),被告松永が拉致・監禁を指導する内容のビデオ(なお,甲101の1は,当該ビデオの映像を記録したものである。),被告松永が実際に拉致・監禁を実行するに際して作成した計画書(甲49の4,102)の各存在及びそれらの内容からも明らかである。

また,被告宮村が上記の指導及び指揮命令を行っていることは,実際に信者に対して拉致・監禁行為及び棄教の強要を行った,統一教会とは利害関係のない元信者や信者の家族が当該事実を認めていること(甲24,43等)からも明らかである。
そして,被告■<後藤徹氏の兄>らは,それぞれ,統一教会を脱会した後,水茎会の会合に通い,また,原告を拉致する直前には新津教会にも通い,被告宮村及び被告松永から,それぞれ,拉致・監禁及び棄教の強要についての指導を受けていた。
b:被告松永及び被告宮村は,1980年代から現在に至るまで,信者に対する拉致・監禁及び脱会強要において密接に連携し,多くの信者の脱会説得に当たっており,密接な協力関係にある。
c:被告■<後藤徹氏の兄>及び被告■<後藤徹氏の妹>の脱会説得の際には,被告宮村がこれに関わり,被告■<後藤徹氏の兄>及び被告■<後藤徹氏の妹>は,被告宮村の説得により統一教会を脱会した。
また,被告■<後藤徹氏の兄>にあっては,被告宮村の勧めを受けで東京都杉並区にある荻窪栄光教会に通って水茎会の集会に参加し,被告宮村と共に,信者に対する脱会説得活動を行い,また,被告宮村が代表者を務めるタップに従業員として勤めるなど,被告宮村とは近しい間柄にあった。

<荻窪栄光教会>
d:前記(ア)aのとおり,被告宮村が代表者を務めるタップの従業員が,原告を拉致する行為に加担している。
e:被告宮村は,平成元年11月頃,当時被告宮村から脱会説得を受けていた信者に対し,悔しそうな顔をしながら「荻窪栄光教会から逃げていった馬鹿な男がいる。」,「今度は絶対に落としてやる。」などと述べていた。
また,被告宮村は,荻窪フラワーホームに頻繁に通い,原告に対して脱会強要をしていた平成10年3月9日頃,被告松永らと連携しているキリスト教神戸真教会の高澤守牧師(以下「高澤牧師」という。)の指導及び指揮命令の下に監禁され棄教を強要されていた信者の元を高澤牧師と共に訪れ,「東京に,説得し始めて2年半になるヤツがいるが,言うこと聞かずに,いまだに抵抗している。後藤というヤツだ。」と述べた。
f:また,元信者らが統一教会を相手取って提起した損害賠償請求訴訟(当庁平成3年(ワ)第4130号,同7603号)において提出された,被告宮村らから監禁の被害を受けた信者の作成に係る平成5年4月8日付けの上申書(甲35の2)の添付資料「関与者一覧表」のうち被告■<後藤徹氏の兄>に係る部分には,「3人兄妹で本人が一番先に入会し弟と妹も伝道したのだが,結局本人は監禁され離教してしまい,次に妹も監禁されて同じく離教,弟はまだ現在も統一教会に入会しているようだが,家族ぐるみで宮村の指示を受けながら陰で監禁の準備をしているようである」との記載がある。
g:原告が第1回目の監禁及び棄教の強要を受けた京王プラザホテルや東京都杉並区荻窪にあるマンション及び平成9年12月以降原告が監禁されていた荻窪フラワーホームの建物は,被告宮村の指導及び指揮命令の下に行われた他の信者又は元信者の監禁及び棄教の強要の際にも同様に用いらている。
h:被告宮村は,荻窪フラワーホームに通っていたことを自認する平成10年9月頃以降も,タップにおいて勤務する被告■<後藤徹氏の兄>を通じて,被告■<後藤徹氏の兄>らに対して原告に対する監禁及び棄教の強要を指導し,原告が断食を行ったことなどの原告の様子等について逐一報告を受けていた。
次回は、第2の最後までです。

これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。
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兄嫁の犯罪性
また、お疲れ様です。
文字の入力・校正はもちろん、被告の名前を伏せたり、わかりやすく写真などを添付したり…、さぞかし大変だったでしょう。
ご自身の仕事や生活もあるでしょうに…。心から敬意を表します。
さて、ふと思ったのですが…。
損害賠償を負う被告の中に■<後藤徹氏の兄嫁>が加わっていることの意味は、なんか大きいような気がします。
血のつながった兄や妹が、原告のことを思ってマンションに閉じ込めた、というのは、事件を知らない第三者からすると、人情として理解できなくもないように見えると思うのですが、こと、義理の姉が原告を閉じ込めた、という場合、話がちょっと違ってくるように思います。
犯罪性が増すというか、必ずしも原告のことを心配したわけではなく、別な動機で閉じ込めた、って感じが…。
それこそ、後藤家に嫁に来て、家族関係を壊したような、家族を間違った方向に引っ張っていったのではないか、と。
もし兄嫁がいなければ、もっと早く原告は解放されていたのではないか、と。
私の勝手な思い込みかもしれませんが。
監禁を犯してしまった兄夫婦。
犯罪行為を共有した夫婦の今後を心配せざるを得ません。
今後の夫婦関係が円満であるためには、反統一の共闘関係だけでは限界があるでしょう。
監禁を指導した宮村と、今後とも縁を切れなければ、ますますおかしくなっていくと思います。
いち早く事件を反省・改心し、相手の自由を尊重する、ウソをつかない、といった人間性を取り込む必要があるように思います。
<東京地方検察庁検察官検事伊藤俊行は,平成21年12月9日,荻窪警察署から送致を受けた前記アの告訴に係る各事件につき,いずれも嫌疑不十分であるとして,公訴を提起しない処分をした>
民事で拉致監禁が認定された今、刑事で不起訴処分を出していた東京地方検察庁は果たしてどうなるのか?
素人の目からすると、これは検察の完全な失態で、不起訴処分を撤回し、再捜査をすべきと思いますが。
たぶん、そうはならないのでしょうね。
伊藤俊行検事は、何の落ち度も認めることなく、何事もなかったかのように今後とも生きていくのでしょうね。
検察に対しては、山口弁護士や有田議員と同様、拉致監禁の実行犯以上にエゲツナイものを感じますね。
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